SITE MÉTÉORIQUE

Dépôt de Météorites

無神経な人

精力のすべてを傾けて、普通の人の普通の言動を模倣することに努めていた子供時代。些細ないじめにあった体験があり、深刻なものではないけれど、周囲に無視されたり酷い言葉が書かれた紙が下駄箱に入っていたりした。何でも思ったことをズバズバ言っちゃう…

良くしようとしない

やはり症状が再燃して、レクサプロ服薬を再開することになった。早く薬から離れたい、病院通いから開放されたいという気持ちが焦りを生んでいたかもしれない。はやくはやくと欲張りすぎて、断薬を早くしすぎたのかも。未来に希望を持って今を生きる、という…

暴露療法

神さまは怖い親であるかのように思っていた。なにかが起こるたび、これは神さまが私に与えている治療の機会で、私がそれを克服できるように、逃げ続けていることに直面させようとしているんだと勝手に解釈した。また首根っこを捕まえられ、見たくないものに…

願うことが何もない

金木犀の木を植えたかった。秋風吹くころにどこからともなく香ってくるのが好きで、家の庭にも一本欲しいと言った。父は、庭を管理しているのは自分だから面倒にになることは望まない、どうしてもと言うなら鉢植えで管理できるものにしろと言った。言う通り…

雑草と戯れる

雑草に特別な定義はなく、人間にとってそこに生えていて欲しくないものを単に雑草と呼ぶのだとか。コンクリートの割れ目から生えてきたど根性大根も、雑草といえば雑草になるんだな。ほんとうに僅かなひび割れでもあればコンクリートの隙間からどんどん生え…

変な声

自分の声がスピーカーから聞こえてきて、それが自分で認識している自分の声と全く違う声で、しかも外国人のような訛りがあって愕然とする──という夢を見た。 幼い頃、録音された声を聞いて、自分のじゃないみたい、変な声、とは思った。でもそれだけだった。…

愛の痛み

不倫に走った有名人など袋叩きにしたがる人達は、自分の配偶者や彼氏彼女が浮気をしたら激高するんだろうと思う。無条件で、浮気するほうが悪い、たぶらかした相手が悪い、だから自分は怒り狂う権利がある。 本当に相手が大切な存在なのだったら、怒るより前…

無為徒食

フーテンの寅さんとか、遊び人の金さんとか、無為徒食の「雪国」の主人公とか、昔はまともな職がなくフラフラしている人間にも市民権があった気がする。むしろ一種のカッコ良さ、肯定的な認識も少なからずあったような気がする。敢えて倫理を外れ、正しくな…

克服してはいけない

心の不具合は克服しなければいけないものなの? 例えば、恐怖症によってもたらされる困難と、それを克服するための努力が呼び込む苦痛とを天秤にかけて、後者のほうが上回るとしたら? 治さなければいけないと努力することが、どれほど苦しいことかを体験し…

クリエイター

決算書などの無味乾燥な砂を噛むような文面。精製を繰り返して微量栄養素がすべて取り除かれてしまったような味わい。規格に合わせた中にさらなる規格があり、そのまた中に規格がある。そういうのにうんざりすると、芳しい香りや圧倒的な手触りを持つ「美し…

トレードオフ

父は克己という言葉が大好きで、自分に厳しく、一度決めたことは曲げずに続けることを良しとしていた。良しとする程度ではなく、それに執着し依存していた。自分を律し、怠けようとする心と戦って勝ち、何が何でも始めたことは投げ出さない──そこだけを切り…

悪筆

パリの北駅の近く、友達と二人疲れ果てて小さなレストランに入った。夜遅かったし適当に食事を済ませたかったので、どこでもいいから目についた店に入ることにした。無愛想な店員さんが持ってきたメニューはすべて手書き文字で、いかにもフランス人らしくも…

トマトに砂糖をかける

我が家では、トマトに砂糖をかけて食べるのが定番だった。父と祖母が極端な甘党で、何にでも砂糖をかける傾向があった。いちごに砂糖と練乳はよくあることかもしれないけれど、グレープフルーツにもこんもりと砂糖を山のように乗せていたものだった。 そんな…

アナログという贅沢

紙を切って封筒を作り、書類に手書きで書き込んで印鑑を押して、糊で封をして、切手を貼る。そんな作業が久しぶりで、なんだかとても楽しかった。そんな事務的作業は非効率で前時代的だと嫌われる。会社組織で莫大な事務仕事があるなら、まあそれもわからな…

不倫と契約

人が不倫していることなんて、なんの興味も関心もない。その人の人生でその人の勝手だと思う。世の中はなぜ他人の不倫に大騒ぎするのか分からない。結婚なんて紙切れ一枚で決定するただの社会制度。そこに必ず愛があるわけでも絆があるわけでもない。それが…

身分証明書

最近、携帯電話の契約などで、保険証が本人確認書類として使えなくなったということを知った。なぜ? これまでだって、保険証は顔写真がないから補助書類が必要で、2点以上揃えなければいけなかった。必要書類は色んな選択肢があった方が無いよりいいに決ま…

男らしさ女らしさ

男らしさ・女らしさという言葉を使うだけで、ジェンダー意識が古いと言われてしまうのは、どうなんだろう?男らしくない男性がいてもいいし、女らしくない女性がいてもいい。それは個人の領域で、どんな個性を持っていても否定されてはいけないと思うけど、…

ささやかな復讐

私はとても嘘つきな子供だった。都合の良い嘘を吐くと、辻褄を合わせるために更なる嘘が必要になるけれど、絡まりあった幾つもの嘘を上手に捌いて破綻しないようにすることが大抵の場合できた。そのためにいつも気持ちは張り詰めていた。それでも自分にとっ…

猫になりたい

長く駐車場だった隣の空き地に昨年新築のお家が建ち、新しい方が引っ越してきた。表札のところに猫の飛び出しに注意というステッカーがあったので、猫を飼っているんだなと思っていたら、以前一度だけ、うちの庭から見える北側の小窓に猫がちょこんと座って…

未来の記憶

幼い頃に、母の職場に連れられて行ったことがあった。母は中学の教師だったので、あれは休みの日の夕方だったと記憶しているのだけれど、ガランとした人の少ない校舎の中で中学生の女の子たちが数人寄ってきて、五歳くらいの私を見て可愛いー!と騒いでいた…

名前という仮面

私の名前の漢字には、父の名前と同じ字が一字入っていて、安易に父と同じ漢字を使ったことがずっと気に食わなかった。名前の音としての響きは気に入っている。けれど文字の視覚的な印象がどうしても嫌で、通称として他の字を使おうかと考えたりしたこともあ…

父のなかの少年

父は多分、強迫性障害を患っていたのではないかという気がする。もちろん本人に病識はなかったし、それに苦しんでいる様子でもなかったけれど、行動はまさに強迫的だった。 戸締まりをしたら何度も確認を繰り返すのが常で、指差し確認を大げさにするのが日課…

悲しみが愛おしい

ダイオプテーズのジュエリーをたまたまネットで目にした。ダイオプテーズは原石しか持っていないし、ジュエリーに加工されたものは見たこともなかったので目を奪われた。 深い青みがかったグリーンに魂が吸い込まれていくように感じられる。悲しいときに、陽…

魂の鎮痛剤

モルダヴァイトというのは隕石の一種で、モルダウ地方から産出されることでその名がついたとか。モスグリーン系の色調を持つ透明なガラス質の石。これに初めて触れた時、自分でも不思議で仕方ないくらいに「懐かしい」と感じた。 魂の繋がりを持つと思われる…

陽性転移

心の病で医者にかかると、その医師が異性だった場合、かなりの率で転移という状況が起こるらしい。医師に恋愛感情のようなものを持ってしまうこと。それが治療の助けにもなるし阻害する場合もあるよう。私にも転移らしい症状は起きた。マスクをした顔しか見…

与えてあげるという行為

熱心な宗教信者の従姉と揉め事があった件。従姉から謝罪の電話があり、なんとか円満に解決はした。 その際に話したことで、認識の相違というのはこんなに深く誤解を招くのかと思うことがあり、考えさせられた。 結局我が家の申し出の通りに、従姉の借金はな…

デコレーション弁当

可愛い動物やキャラクターを象ったお弁当。タコさんウィンナーくらいならいいけど、最近のは手が込み過ぎていて、妙にリアル。それを食べちゃうのって、残酷じゃないの?──そんな事を言ったら、空気読めよ?って睨まれるだけだろうか。 見た目が映えることば…

広告という洗脳

アルゴリズムによって勝手に並び替えられて、見知ったようなものばかりが集まり、新鮮な驚きを奪われる。今までと同じ視点ばかりで息苦しくなる。逆に言えば、自分を脅かされるような反対意見がないので楽ちん。 自分を逆から眺めてみると死角に気づく。その…

無のつく言葉

有意義に時間を使いなさい──生産性という言葉にどこか似ている。追い詰められる気分。意義があるかないか判断するのは、狭い視野のちっちゃな脳味噌。無意味 無意識 無常無頓着 無鉄砲 無計画無為 無軌道 無害無期限 無垢 無作為無我 無心 無言 無がつく言葉…

不安に備えるということ

自分でどうすることも出来ない天災や社会状況などに対して、私はあまり不安を感じない。将来年金がもらえるどうかとか、自分が直接働きかけることのできない事象に対して不安になっても所詮何も出来ないのだから、無駄な心労だなと割り切ることができる。 そ…