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植物として生きる

最近、韓国映画「花を宿す女」を観て衝撃を受けた。
韓国を代表する女流作家ハン・ガンの「菜食主義者」が原作で、あまりに衝撃的だったので原作を読みたくなったものの一方で読むのがとても怖く、アマゾンのカートに入ったきり。


ごく普通に生きていた女性が、ある夢を見たのをきっかけに肉食を拒むようになる。
植物として生きることを望み、植物となら愛し合える。
無垢な狂気を宿して、落下をし続ける。
ある意味、この主人公のように自分もなりそうだから、怖い。

陽光と交わり、光に融けることを祈り。
共感でも共鳴でもない、もっと強烈で容赦のない、磁力のようなエナジーで乱暴に引きつけられた。


映画も文芸も重いやつはずっと、15年くらい、触れることができなかった。
自分に充分なエネルギーがないと受け止められないし、心が動くと諸々のバランスが崩れて辛くなるのが怖かった。
その間は娯楽といえば韓国のドラマが全てだった気がする。
日本のは、世相に阿る内容で、共感できず見ていられないのが多かった。

湖の底に沈むような日々を癒やしてくれたのは、韓国のドラマに通底する「情」のようなものであり、人間に対してのある種楽観的な、あたたかい視線だった。
韓国のドラマも映画もとてもクオリティが高くなっているので、文学も当然そうだろうと思った。でもここまで素晴らしい作品に出会えるとは思っていなかった。ここまで深く魂を揺さぶられたことは、本当に久しぶりで、なぜだか怖くて仕方がない。