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砂嵐

両親と祖母と一緒に、車に乗ってどこかに出かけようとしている。
外はひどい天気で、激しい風が狂ったように吹き付ける。辺り一帯の砂という砂が舞い上がり、うねりながら窓ガラスに襲いかかるのを、私は室内から見ていた。その様はさながら、赤い舌を出してとぐろを巻く何匹もの大蛇のようだった。空気が微細な砂の粒子を孕み、それが空気の分子まで変質させてしまったかのように、不穏な波動を伝えていた。世界が黄ばんだ色に霞んでいる。雨戸を閉め、家を守らなければいけない。


急いで戸締まりをし、玄関の外に出て、鍵を閉めようとする。すると、玄関の戸がまるで暖簾か何かのように風にたなびく。ぐにゃりぐにゃりと揺れ、それでいて重い金属の質感はそのまま。サルバドール・ダリの絵のようだ。
私は困り果て、片手でドアを押さえながらもう片手で鍵穴に鍵を差し込む。鍵穴は上下に2つあって、上の鍵を閉めると下が外れてしまい、下の鍵を閉めるとまた上の鍵が外れてしまう。これではどうしようもない。


たなびいた玄関ドアの隙間から、室内に養生テープがあるのが目に入った。これでドアを貼り付けてしまおう。テープに手を伸ばした時、後ろから祖母に声をかけられる。ここはあたしがやっておくから、早く車に乗ってなさい、と祖母が言う。もうボケかけて普段から戸締まりを任せるのも心もとない祖母に、この緊急事態を任せられるはずがない。私は祖母に、車に戻ってじっとしていてほしいと伝える。祖母は全くその言葉が耳に入っていない様子。私の手から養生テープをひったくって、見当違いの場所に貼り付けようとする。私がそれを制止すると、声を荒らげて、自分がどれだけ有能でどれだけの困難を解決してきたかを誇らしげにまくしたてる。
埒のあかない押し問答が限りなく続く。私の苛立ちは限界の一歩手前で、暴言を浴びせかけたくなるのをなんとかこらえていた。