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決して怒らない男

『愛してる、愛してない』 2011年の韓国映画を観た。ヒョンビン、イム・スジョン主演。ベルリン国際映画祭にも出品された作品だそう。


「あなたは生まれつき怒らない人なのか、怒っていてもそれを我慢できる人なのか」と女は問う。「怒ったとしても、何も変わらないことが判っているから」と男は答える。


女は、激しい感情の発露を求める。男は、ひたすら彼女のありのままを受け止め尊重することで愛そうとする。
女は、単調な日常に一石を投じる。男は、単調な日常を守るために、日常へと逃げ込む。
淡々と、淡々と、時計の秒針が刻む音が聞こえてくるような、そんな展開。完全なるミニマリズム


ふたりの間に、たしかに愛はあるのだけれど。絶望的にすれ違っていて、伸ばした手が違う位相ですれ違っているよう。彼女は、ただ彼に怒ってほしかったのだろう。なりふり構わず思いの丈をぶちまけてほしかった。自分を激しく求めてほしかった。その手応えこそが彼女にとっての愛だったのかな。