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タロットカードが思い出せない

タロット占いをしてもらっている。四枚のカードを正方形の角の位置に並べる、簡単なスプレッドだった。
二枚目がハートの10のリバースだったのを覚えているが、後で考えてみるとハートの10はタロットカードでなく、トランプだ。


タロット占い師は、若くてイケメンだというのを売りにしていて、松田翔太似だと自ら謳っていた。写真を見るとそう思えなくもない感じだったけれど、実物を前にすると、全く似ていなかった。どこか場末のホストのような出で立ち。そんな風貌では詐欺師のように見えてもおかしくないのだけれど、彼の物腰や言葉の選び方から、信頼に足る人物であることは見て取れた。それは占いをして貰う立場での贔屓目なのかもしれないが……。
展開されたスプレッドを前に、占い師は笑顔を見せ、これはいいカードが出ましたねと言った。いざ解説に入るという時、スタッフが彼を呼びに来て、一旦席を離れた。その後待っていても彼はなかなか戻らない。スタッフがまた来て、のっぴきならない急用ができたので、あとで解説を録画した映像を送ります、と平謝りされた。


次の瞬間、私は車の後部座席に居た。隣に、スピリチュアル系の動画を配信しているKさんが座っている。Kさんは占い師の関係者のようで、私達は彼のところへ向かっているらしかった。
私はタロットのスプレッドを夢の中では正確に覚えていたので、それについてKさんに尋ねたいと思った。Kさんは疲れているのか、車が走り出すとすぐにウトウトし始め、船を漕いだ。私はタロットの解説を早く聞きたいのをぐっとこらえ、逸る心と戦っていた。信号で停まった時、Kさんはふと目を覚まし、私に対して非礼を詫びた。お疲れのようですから、ゆっくり休んでくださって結構ですよ、と社交辞令が思わず口をついて出た。反射的にそう答えてしまった自分に、じわじわと苛立ちが湧き上がった。


目が覚めて、タロットの意味を詳しく調べてみようとしたけれど、四枚のカードの内容だけがすっぽりと抜け落ちたように思い出せなかった。