SITE MÉTÉORIQUE

Dépôt de Météorites

超新星爆発

小学校四年のとき、児童会の選挙というのに立候補させられた。
大人の選挙の真似事をして演説し、投票し、役員を決める。内向的の極みとでも言ったような性格の私は、人前に出たり、壇上に上がったりするだけで目眩がしてきそうだった。そこで何を発言したかは忘れてしまったけれど、先生や周囲の人が心配したほどにはひどくなく、可もなく不可もない出来だったらしい。


体育館の壇上で数百人の前に立ち、はげしい緊張で平常の意識と切り離されたとき、サブリミナル的に脳裏に折り挟まれた映像があった。演説の最中に垣間見たその映像を忘れられない。


何千、何万という人達が沸き立ち、ステージを見つめている。歓声が怒涛のようにうねり、襲いかかる。そのステージ上で無数の人々の発するエネルギーの玉を一身に受け、それをひとつにまとめて送り返す。巨大な蒼白いエネルギーが超新星爆発のように弾けとぶ。そんな一瞬の情景。
ただの妄想と言うにはあまりにもリアルで、圧倒的な熱量を伴った。


あの映像は一体何だったのだろう。
私の人生に、あれほどまでに熱が凝縮された時間は、一度もなかった。
あれは、他の誰かの意識に混線して繋がった瞬間なのだろうか。
あるいは別の世界にいる私の分身に? それとも?