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隕石の堆積場

壁を作ってるよね

演劇の学生サークルのような団体に入ろうとしている。沢山の団員と沢山の志望者がいて、ごった返していた。私は演劇を観念的に捉えて、内容を深く掘り下げて話し合えるような友人が欲しかったのだと思う。そのためにそこに参加してみようと思った。


志望者が一人ずつ、舞台に見立てた赤っぽいライトの下へ立って、そこで何かをアピールするという儀式のようなものが始まった。そこでの様子を見ていると、志望者の殆どは、自己アピールをしたくて仕方ない、目立ちたがり屋の騒がしい人達だった。
この演劇サークルは期待したような場所ではなく、自分はひどく場違いなところへ来てしまったという気がした。私にはあんなふうに笑いを取ることはとても出来ない。自分の番が来る前に、ここから逃げ出そう。
持ってきた荷物は、茶色い子猫の写真がプリントされた箱がひとつ。それを持って一刻も早くここから出ようと箱を探すけれど、何十人もの荷物が無造作に放り投げられたように床に置かれていて、そのなかに混じった箱が見つからない。


探しているのをさとられないように気を付けていたのだが、友人のAが声を掛けてきた。もう帰ろうとしてるの? 
Aと一緒にもうひとり、(名前のわからない)友人が現れた。
連絡もくれないし、なんか壁を作ってるよね。本気で相談に乗って欲しいなら、携帯の番号も持ってないなんてありえないし、私達の身にもなってよね。ほんとは私達なんてどうでもいいと思ってるんじゃない? 何でも病気のせいにすれば許されると思ってんじゃないの?


私はそんなことを言われ、心外だった。自分の心の状態が悪いことを伝えてはいたけれど、あまりに詳しいことを話せば彼女たちの負担になるし、明るく楽しくおしゃべりできないのは彼女たちも内心嫌だろうと思ったので、たしかにその点では少し距離をおいたかもしれない。迷惑をかけられないという配慮のつもりだった。
返す言葉もなく、私は黙って聞いていた。携帯電話がそんなに大切ならすぐに契約したって良い。でもこれはそういう問題?


子猫の描かれた箱がようやく見つかった。誰かの荷物の下敷きになり、箱が潰れていた。無残に折れ曲がってしまった猫の顔を元に戻そうとしたが、元に戻らないことは明らかだった。いつもそうだ。私の大切なものを、無神経な人達がそうとも知らず踏み潰していくのだ。彼らに悪気はないので、私は誰のことも責められず、ただ自分を責めるしかなくなるのだった。
ここに集まった目立ちたがり屋たちにも、二人の友人にも、強い嫌悪感を感じている自分に気づいた。


そうやってすぐ逃げ帰るから、誰からも相手にされないんだよ。友人がそう言っているような気がした。しかし確かにそれは、友人の発した言葉ではなく、私の心が発した言葉だった。


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私を排除しようとした人達は、「私が」排除しようとした人達なのかもしれない。そんな事を考えた。
目覚めると、孤独が胸に詰まって、とても苦しかった。