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残酷すぎる現実を動かすために

『トガニ 幼き瞳の告発』 2011年の韓国映画を観た。
あまりの怒りで涙が止まらないという体験を、多分初めて味わった。これを書きながらまだ心が震えている。
同名の小説が原作で、実話を元に構成された作品だそう。こんなにも悲惨な現実が本当にあった事だなんて、言葉をなくしてしまう。
主役を演じたコン・ユが原作の小説を読み、自ら動いて映画化に漕ぎ着けたそうだ。


これを映画化した制作陣の魂に拍手を送りたい。映画産業という資本主義の中にあって、社会の闇を目を背けず直視し、喉越しが良くなるように手心を加えたりもせずに残酷なままに問いかけることは、決してたやすいことではないでしょう。日本だったら、こんな重い話では儲からないの一言で却下されそう。
子どもたちの演技が素晴らしすぎて、なんと形容していいかわからない。その演技を引き出す監督たちの手腕も凄い。人生のすべてを捧げている人間の仕事だと思った。


映画がヒットしたことで社会が動き、加害者たちに新たに懲罰が下されたということで、それがほんの少しでも救いになれば……。そりゃこの映画を見て何も感じない人はいないでしょう! 映像が持つ力というものをガツンと思い知らされた感じ。韓国の司法は世論に影響を受けすぎると揶揄されていたりもするけれど、それは悪い側面だけを持つわけではないと思った。
影響力のある大スターが、その影響力を善意で利用して社会を動かした。スターであることの責任というのは大変な重圧なのだろうけど、それを立派に果たすコン・ユは本当にカッコいい。