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汚物を美しい箱に入れる

こんな恋愛ドラマを観た。

彼女は、彼の排泄物を自分の服になすりつけていた。アイボリー色のコートから始まり、全身になすりつけ終わって、彼女はようやく安心したというように、仄かな微笑みを口元に浮かべた。
それは、彼女なりの愛情の表現だった。彼の中から生じた穢れを、身代わりに受け止める覚悟を示す行為だった。彼と友人たちはそのにおいに気付いて、俄にざわめき立つ。


はじめは彼女のやり方に激しい嫌悪感を示す彼だったが、心の裡を知るとともに、彼女の愛はやがて彼へと届き始めた。彼女はいつも言葉少なに、白く煌く満ちた月のような瞳で彼を見つめていた。
彼女は彼の汚物を美しい漆塗りの箱に入れていた。真赤な組紐を大切に結び、愛おしそうにその箱を手のひらで撫でていた。