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ときめきを冷凍保存したい

『隠された時間』 2016年の韓国映画を観た。カン・ドンウォン主演。
ただのファンタジーでは終わらない、心を鷲掴みにされるような甘美な映画だった。下手な恋愛映画よりずっと心に滲み、胸が震えた。初恋の人が時を経て、もっと素敵になって突然迎えに来てくれたみたいに。


ふたりだけしか読み解くことのできない暗号。他の誰とも共有していない記憶。周りの誰もが信じてくれない、ふたりだけの真実。疎外されることによって、吹き溜まりに溜まった枯葉のような心が、より美しく触れ合う。
カン・ドンウォンが、子供の心のまま時を止め、大人になってしまった少年の純粋性を見事に演じていて、眼差しも佇まいも少年そのものなのは驚くほどだった。


孤独と、生きることの難しさを強く感じていればいるほど、それを分かち合う二人の距離は近くなる。時を経ても信頼は固く強く、繋いだ手を引きちぎろうとする力にも揺るがない。


凍りついた時間の中に、ときめきも永遠に保存できたら良いのに。
さらさらと流れる時の中でも、瞬間ごとに新鮮なままに、無数のときめきを水晶のインクルージョンのように美しいまま閉じ込めながら、生きていくことはできないのかな。
肉体はやがて熟れて腐っていく果実であっても、そこに宿る心は鉱石の結晶のように、時の流れに敗北しない存在であって欲しい。