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未来の私への手紙

旧いサイトに載せている、過去に書いた文章を、一通り読み返してみたりした。
自分の書いたものなのに、長い時が経つと完全に境界を超え、既に自分のものではなくなっていて、誰かの書いた文章と全く同じ視線で見ることができる。エゴが手を伸ばしても届かないところに行ってしまう。そのことがとても興味深く、新鮮な発見となった。
若気の至りに、無闇に剣を振り回すような鋭角な表現が、愛おしくもあり、羨ましくもあり。
失ってしまったものを幾つもそこに見つけたけれど、それは過去という分厚いガラスケースに並んでいる、取り出すことのできないものだった。過去を羨んでも、決して取り返せない。今の私はあんなふうにはもう表現できない。また、過去を蔑んでも、変えることはできない。


失う代わりに、何を得たのだろうかと考える。考えて解るようなものは、多分本当に得たものではない。
私たちは、ほんとうには、成長も退化もしないのではないかと思う。プリズムが光を分解するように、私たちのなかの色はただ移り変わっていくだけ。同じ光の様々な側面を通り過ぎていく。その摂理に抗うことは愚かなこと。

今書いているのも、遠い未来の私が読み返した時に、心癒やされるようなものであったらいい。魂が生まれた場所へ、ひとときの旅をするような。