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純白の島をリポートする

かつてのスペイン風邪という名称のように、今回の〇〇風邪の名称のもととなった〇〇島はどの位置にあるでしょうか。三択でお答えください。緯度30度、緯度55度、緯度65度。
正解は緯度65度。その島は南アメリカ大陸の南端に、おまけのようにくっつく形で存在します。地図が大写しになった。南の末端に、大陸がついた小さな溜め息のような、幾つかの島がある。その中のいちばん大きな島だ。


世界ふしぎ発見!みたいなテレビ番組を見ていた。そんな島があるのか。リポーターが乗り込んでいく、極寒の島。氷の粒子が空中で陽光を乱反射し、世界は純白のヴェールをかけたように美しく滲んでいた。街には、金髪を三つ編みにした幼い少女たちがたくさん歩いていて、学校へと行くところ。学校までついていき、東洋人風の十五歳くらいの女の子にインタビューしようとする。映像が止まる。そこで問題です。この島の公用語は何でしょう?……正解は日本語。なんと日本語が公用語なのです。えー、さっきの金髪の子たちも日本語喋るの? 回答者たちがざわめいた。
津田梅子の写真によく似た、着物姿の女性の旧い写真が映し出された。この方が島の教育の礎を築いた〇〇さんです。(島の名前も人の名前も夢の中でははっきりしていたのに、思い出せない)


島の食事風景。ちらし寿司のような、ご飯の上に色とりどりの食材が美しく飾られた一皿をメインに、ふんだんな野菜の副菜が並ぶ。伝統的な和食と、西洋的マクロビオティックのようなものとが融合した食卓。私たちは決して和の伝統を忘れることはありません。そのうえで、時代に即した新しいものを取り入れることにも積極的なのです。先程の黒髪の女の子が賢そうな瞳で語った。テーブルに並んだ料理には、率直で淀みのない魂が見え隠れする。
いつのまにかリポーターは私になっている。私は試食を勧められ、ありがたく頂いた。驚くほど薄味で、油っぽさが皆無で、それなのに滋味深く、コクと表現されるものとはまた違う深い旨みがあった。それはまさに私が求めていたような味だった。なんとも表現できず、泣き出してしまいそうな味だった。