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変わっている人

東大野球部に入り、そこで活躍して注目を集めプロ入りするという青写真を描き、実際そのとおりにプロ選手となった人物の伝記的な映画を観る。主演はなぜか韓国人俳優のK。

普通なら強豪校に入ってそこで鍛えられることでプロを目指そうとするだろうに、Kは生まれつき独特の考え方をする人物だった。必死に勉強して東大に入り、その野球部で群を抜いた活躍をすることで世間に注目されるという道を選択した。実際にKはそこで活躍し、例年よりも東大の戦績を向上させた。メディアがKについて取り上げ、彼は一躍時の人となる。そして思い描いたとおりにドラフトで指名され、プロ選手となった。

彼の独特の人となりを、周囲の「普通の」人々との対比の中で描き出している。彼の家族や恋人も、それぞれ一癖ある人物で、世間の常識的な考え方に与しない。それぞれに尖っているのでぶつかりあうことも多いけれど、最終的に「変わっている」人々は変わっているがゆえにお互いを深く認め合う。

入団した彼はインタビューを受ける。どうして敢えて東大に入ってプロを目指そうとしたのですか? それをあらかじめ心に決め、実際に実現なさいましたが、一体何がそのような道を選ばせたのですか?
彼は答えた。緻密な計画を立てて策略をめぐらしたかのようにおっしゃる方が多いのですが、特に深く考えてこうしたわけではないんです。ただなんとなく、こうしなければいけない気がして、自分の内側の声に従っただけなんです。僕は頭空っぽなんですよ、ほんとに。
フラッシュが焚かれる中で、緊張し、はにかんだ笑みをこぼす彼は、自分に何が起こっているか本当によくわかっていないような顔をしていた。長く伸ばしたままの髪を後ろでひとつに結んでいる。それが彼のトレードマークになった。