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三枚におろす

両脚を揃えてみると、左脚の方がかなり長かった。いつからこんなに脚の長さに差ができてしまったのだろう。歩くと体が安定せずガタピシして、うまく歩けないので、病院に行った。

対応した医師は、かかりつけの歯科医によく似ていた。その医師はいつものようにぶっきら棒な口調で、脚の長さを揃えたいですか?と訊いた。私は、はい揃えたいです、と答えた。それが手術を承諾したことと認識され、知らないうちに手術が始まった。
左足の足首から下の部分が、魚のように三枚におろされた。ハンバーガーで言えば、中のハンバーグが抜き取られ、上下のバンズが接着させられた形。たしかに左足の厚みが減り、結果として脚の長さも短くなるのは当然だった。
接着した跡は赤く線が残っていて、指でなぞるとかなりへこんでいた。見事に無様になった左足。歩いてみると、なるほど普通に歩けるようになっていたけれど、納得がいかない。

いつもこんなことばかりだ。問いかけに答えると、私の意図とは違う答えと認識される。私は手術を承諾した覚えはないけれど、たしかに脚の長さを揃えたいとは答えた。医師は脚の長さを揃えるということは手術するということだと捉えた。この認識の行き違いのようなことが、あまりに頻繁に起こるのはどうしてだ! とひとり憤慨した。