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隕石の堆積場

無に充ちる

すでに卒業したはずの高校に、また通っている。カレンダーを見ると11月で、まだ卒業には少しある。あと何日我慢すればここから自由になるだろうかと、数えることだけが生きがいとなっている。
この状態を、終わりにできるのだと突然気づく。

この現実は自分の描いているただの幻で、自分の意志でどうにでも形作ることができるのだと、閃きが降りてくる。粘土を捏ねるようにして現実を塑造する。きらきらと瞬くような天啓にも似た直感。
それならば、いますぐに通うのを終わりにしてしまおうと思う。親に電話一本かけてもらって今すぐ卒業しますと伝えてもらおう、いやそれすら必要ない、自分で決めて自分で電話すればいいだけだ。
そんなにも “お手軽” なことだったなんて!

すぐにでもやめられることに自分からしがみつき、ここから出られないと嘆いていた。夢の中でも夢を見て、繰り返し繰り返し、無限に増殖する悪夢の中で、幾度となく高校に通わなくてはならなかった。それなのに。
外界の全ては幻で、何もかもは本当には存在しない。突然具体性を帯びて感じられる。
途端に、世界が白く充ちて、その直後に暗転した。

世界は無に充ちていた。他者はひとりも存在せず、あらゆる過去の記憶も、すべて虚実だっただけでなく、そもそも何ひとつ存在していなかった。突風に霧が搔き消されるように、視界のすべてが消えた。
突如として、絶対的な闇のなかに閉じ込められた。そこには光のかけらもない。恐怖に叫びを上げた。
自分の叫ぶ声で目覚めた。

ーーー
何度も高校に通わなくてはいけない夢を、数知れず見てきた。それほど強かった嫌悪感なのか、やり残した感が強いのか。
父への反発を、学力や受験テクニック至上主義への嫌悪感にそのまま重ねてしまっていた。それが社会そのものへの恐怖にまで育ち、すべてを覆い尽くした。その萌芽に位置しているからかもしれない。

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