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前下がりのボブ

自分の長い髪が鬱陶しく感じ、どことなく野暮ったく幼児性を持つように感じられ、突然切ってしまいたくなる。ばっさりと顎下のラインで切り揃えたボブカットにする。前下がりのラインがシャープで、なかなかスタイリッシュにカットできたと感じ、珍しく満足していた。横から見ると、首のラインがくっきりと見え、そんな自分の姿がとても新鮮だった。

一晩眠って、翌朝起きてみると、すっかり魔法が解ける。胸のあたりまであったはずの髪がなくなっていることに違和感と喪失感を覚え、不安が襲う。髪を切ったことを思い出し、首のあたりでカットされた髪を片手で撫で上げてみるけれど、寝癖がついてうねった髪は、私の手を拒んで弾くように揺れ動いた。

これが本当に私だったのだろうか? 自己に対する認識が揺さぶられ、足元が揺らぐなかで真っ直ぐ立っていられないような激しい混乱。
着ていたピンク色のパジャマと全く不釣り合いなヘアスタイルに感じられ、滑稽でみっともなくて、日付変更線を超えて昨日に頭を突っ込み、身を隠したくなる。

変更線はまだ近く、その辺にある気がした。空間に設置された変更線、青いゼリー状のそのバリアを超えれば、もとに戻れるような気もした。太陽が刻々と昇りつつあり、変更線が刻々と遠ざかることが、怖かった。