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絡まり合う蔓

とある外国人の男性と出会う。お互いに、相手の国の言葉は片言しかわからない。通常なら身振り手振りでなんとか意思疎通しようと張り切ったり、なんらかの意図がそこに働くはずの状況で、不思議なほど思考は静かだった。私は何も働きかけず、ただ受容していた。

すると、ほんの片言の言葉から、発芽し、蔓が伸び、大空に緑の葉がみるみる繁っていくかのように、意味を超えた、形のない「念」のようなものが育っていき、それが相手の男性と繋がっていくのを確かに感じた。私たちの間に生じた蔓は絡まり合い、美しい曲線と曲線が手に手をとってワルツでも踊っているかに感じられた。
日常の手垢にまみれ、中身を失って骸と化した「言葉」が介在すれば、決してそのような芽は出ることがないとわかっていた。言葉が封印されたからこそ、この植物的な何かが介在してくれたのだということも。

双方の国の言葉がわかる人が通訳の役目を買って出てくれたけれど、その年配の紳士はすでに必要がなくなり、役目を終えていた。そしてそのことに満足しているように、目尻に皺を寄せ、柔らかく微笑んでいる。

外国人男性は、私の住む家のすぐそばの、小高い丘の上、木々が鬱蒼と生い茂る中に静かに佇む洋館に住んでいることがわかった。蔓から伝わってくるパルスでわかるのだ。その丘の入り口にある寂びれた公園で、幼い頃によくブランコに乗ったものだった。あの丘の上に瀟洒な洋館が建つことも、そこに彼が住んでいることも、こんなに近くにいるというのに全く知らなかったことに、ひどく驚いていた。