SITE MÉTÉORIQUE

Dépôt de Météorites

金色の小箱

美しく切ない郷愁の想いに潜っていく
想いをぼんやりとしたビジョンに置き変えていく
万華鏡を覗き込むように 規則的に回転するそのビジョン
次第に引き込まれ 解像度を上げていく

蓮華の咲き乱れる草原 柔らかい風が髪を揺らす
幼い頃よく遊んだ場所に似ている

金色の小箱が置かれている 
細かい彫金細工が施され
美しく装飾されたずっしりと重みのあるその小箱
時を超えて慈しんできたとても大切な小箱であることがわかる

蓋を開ける
内部から淡い桃色の光が溢れこぼれる
甘やかな果汁がほとばしるよう
心の傷にしみるような
それでいて優しくくすぐられるような

自ら鞭打った沢山の痣が心の表面に浮かび上がり
いつかどこかで見たような不可思議な呪文を思わせる文様となって
表面に赤黒くたなびく痣に温かな色が注がれる
キャッツアイのように心の表面に煌めきが走る

自分に優しくしたい
注げる愛を一滴残らず注ぎたい
うまくできないところも 欠けているところも
全部呑み込んで温めてあげたい

言葉にするとうまく表現できない
もっともっと大きくて優しいちから
背中を優しく撫でる手のひら
髪を撫でるしなやかな指先
偉大でありながら小さくて可愛いちから

時を超えて刻み込まれた痣が滲んでやがて薄れていく
艶やかでみずみずしく滴るような光沢をたたえた
その輝きに目を奪われる
見惚れるようにまるいその心