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隕石の堆積場

干涸びた水路

すれ違う若い女性たちや、十代くらいの少年たちの会話が、風に途切れ、断片的に耳に届く。ちぎれた便箋を寄せ集め、コラージュするように意識の中で繋げていく。若者たちの会話は、私自身の人生の中、どこかしらで実体験してきた思いの断片であり、色とりどりの便箋を繋ぎ合わせた後に、どこか既視感のあるひとつのレポートが出来上がる。それが自分自身の人生のストーリーによく似ていることに気づいて、不思議な気分がする。

朝起きて、窓辺で手鏡を覗くと、目の周りにたくさんの深いしわができているのを見つける。朝の白い光が率直に映し出したしわを、一つ一つ丹念に追いかけていくと、額にも、鼻筋にも、格子状に縦横に細かいしわが張り巡らされていることに気づく。特に、鼻筋に沿って、縦に長く深いしわが一本通っていた。掌における運命線のよう。その運命線は、中ほどで少し左側に曲がっていて、緩いカーブを描き、鼻の頭のあたりで中央に戻っていた。

こんなに鏡の中をしみじみと覗き込んだのは何十年振り、いや何百年振りのような気がする。長い時が刻み込んだ形跡を辿り、たくさんの感情がこの心を流れ過ぎていき、その痛みや歓びや、様々な体感がひとつひとつのしわとして記録されたのだということを知る。年老いたのだという明白な事実を、舌の上でじっくりと転がすように味わった。想いが溢れ、流れ出すことで形成された水路が、時を経て干涸びたもの、それがこのしわの数々。

頬の下の方には、細かいしみのような痣のようなものが一面に花開いていた。青いような赤黒いような小花が、重なり合いひしめき合い、肌の上で咲き乱れている。頬から首、肩の後ろの方まで、花畑は続いている。決して美しくは見えなかったが、思ったよりは醜くなかった。それでも、この肌の状態をありのままに受け入れることには、深い抵抗を感じた。
首の周りをさすってみる。すると、皮膚一面に貼り付けられていた極薄のフィルムが、ベリベリと音を立てて剥がれていく。細かい花模様が描かれたフィルムの下に、しみ一つないまっさらな皮膚が現れた。若く美しい皮膚を取り戻すことができたというのに、何か大切なスパイスを忘れた料理のように、意識の表面にどことない味気なさが漂った。

 

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