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隕石の堆積場

永遠の命

『還魂』 Netflixにて視聴。

魂が自分か、肉体が自分か。
自分の魂が誰かの肉体に入り、誰かの魂が自分の体に入ったら、どちらが本当の自分なの? 意識は別人の体の方にあり、血や遺伝子は元の体の方に残っているわけで。

血による生体認証のシーン。一族に代々流れる血によって認証され、秘密の倉庫の扉が開く。魂は別人が入っていても問題なく開くわけで。
違う肉体に入っていても、瞳を見つめれば、あの人は自分だと分かってくれるのだろうか?

「違う魂が自分の体に入っている間に子供を作ったら、生まれた子は自分の子と言えるのかどうか」というのは強烈な問い。心は否定するだろうけれど、たしかに血は流れている。
私は肉体より魂と同化して生きてきた気がしていて、むしろ肉体を軽視しすぎたかもしれないという反省がずっとあった。遺伝子で繋がったご先祖様を敬うという感覚がよくわからなかった。魂の故郷を同じとするグループソウル、ソウルメイト等が本当の家族だという気がしていた。
でもこの強烈な問いで、血というものの呪縛に近い愛が、どこか美しいものに見えてきた。

いわゆるゾンビものじゃん?と片付けられない深みがあり、哲学的な問いが根底に流れている気がする。
『イカゲーム』が、ただのデスゲームものと片付けられないのと同じく、覗き込めば奥行きが深く、物語には嵌まり込んでいくと闇のなかに綿密に張り巡らされた寓意が見えてくるという構造。
人智を超えるような画期的な技術が開発されたら、それによって得られるものの大きさに、過酷な修練を越えて術士となった人格者たるべき面々が、臆面もなく、欲望むき出しに、醜い闘いを繰り広げる。
還魂術を司る氷の石は、まるで核兵器みたいだ。危険なだけで、存在するだけで人を幸せから遠ざける。
車を乗り捨てるように、次々と新しい肉体に魂が乗り移っていけば、永遠の「命」を得られるとして、それで何が変わるだろう。
何を捨てられるかが、命の何たるかを指し示す。

チョン・ソミンがとっても可愛い。ギロッと睨む顔が特に。『赤と黒』で見たときはまだ幼さが残るフレッシュさだったけど、随分演技に磨きがかかっていて流石と思った。
総帥とキム・ドジュの、大人のぶきっちょすぎる恋が可愛くて仕方なく、若者たちの恋模様よりずっとおもしろかった。こういう箸休めがまたすごく上手いんだよな。

最終回は消化不良だけど続編あり。