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未知というキャパシティ

夢のなかで、今までに自分の脳内にあった過去の出来事がすべて本当だったのかどうか定かでなくなって、こんなことが本当にあったのか?なかったのか?何もかも自信がなくなってしまうことがよくある。
過去の記憶として脳に保存されているデータが真実なのか、夢の中の感触が真実なのか、次第に曖昧になって、螺旋を描いて混じり合っていくような感覚。
自分の人生が他人のことのようで、手応えを失い、今私はどこに立っているのかわからなくなる。座標軸を失う。巨大なマーブル模様の中で目眩を感じながら。
過去という後ろ盾がなくなって、圧倒的な不安を感じたのと同時に、大いなる未知というキャパシティを与えられたような、身に余るほどの自由を使いこなせるのか?という恐怖のようなものも感じる。

この感覚が、ヘリオセントリック占星術を知ったときに見た、太陽系の本当の動き方の動画とすごくリンクしていると気づいた。
太陽系は固定されたものでなく、銀河系の中で高速回転している。だから、地球もただ太陽の周りをぐるぐる回っているのでなく、太陽を追いかけるように銀河の中を飛翔している。それを知ったときにはちょっとした衝撃を感じた。

常に太陽を動かないものと考え、それを基準点として世界を推し量っていた。それが、基準点そのものがすごいスピードで動いていて、留まることを知らないものだとすると、偉大な自由の感覚とともに、どこか頼りなく、心許ないような感じを覚えた。どれだけ自分が「基準点」という幻に依存していたかが明らかとなった。

過去の記憶を拠り所に、それを基準点にすべてを推し量る。それが当たり前と考えていた旧い世界は崩壊しつつあり、パラダイムシフトが起こってる。
記憶はただの記憶で、本当であった証拠はない。記憶自体が歪められ、自分の都合の良いように、あるいは悪いように、しだいに上書きされていってしまう。過去は、常に変化を続けているものなんだ。

父が晩年、認知機能が低下して、10分ごとに同じことを訊いてきて、その度に初めて聞いたことのように大袈裟に驚いていたのを思い出す。人はみな、向こうの世界に戻るために、記憶を失くしながらその準備をしているのかも知れない。魂そのものに還るため、過去に囚われることのない真実の在り方を久しぶりに思い出すために。