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ミッシングレター

音楽室で、多くの児童と一緒に歌を歌っている。小学校の音楽の時間らしい。アルファベットの歌を歌っていたので、英語の時間だったのかもしれない。ABCDEFG〜と歌おうとするのだけれど、その続きが所々どうしても思い出せない。記憶が部分的に黒塗りされてしまったようで、何度スキャンしても反応がない。所々が破損したタイプライターのように、特定の文字だけが消えてしまった。焦りと苛立ちが胸に詰まって、息苦しい。

隣の席の女の子に、アルファベットが思い出せないことを打ち明ける。その子は一瞬目を丸くして固まった。その後、あからさまな侮蔑の表情へと、見事なまでの変貌を遂げた。アルファベットも分かんないの? それマジでヤバイから。頭おかしいんじゃない?
信頼していた友達の豹変ぶりに、言葉を失う。数分の間、怒りがふつふつと湧いてきては、身体の深部に溜まり続ける。

突然壊れたように、私は教科書をビリビリと引き裂いて床に放り出した。周りはしんと静まりかえり、全員が見て見ぬふりを決め込む。優しい物腰の女性教師が、長い髪を揺らしながらそっと近づいてきた。修道女のような微笑みで、先生は私の肩を抱き、廊下へと連れ出した。厄介者を扱うのには手慣れている、そんな体で。こなれた笑顔で、厄介者のレッテルを貼られるのは大変な屈辱。その不快をたっぷりと味わい終えると、教室のドアはガラガラと無神経な音を立て、閉ざされた後だった。

夢うつつの状態で、アルファベットの歌をもう一度頭の中で歌ってみた。何度歌っても、OPQRST…の次が思い出せない。VWXYZで終わるのは分かっている。様々な英単語を思い浮かべ、思い出せない一文字が何なのか探してみて、ようやく気づいた。Uの文字が思い出せなかったことに。
それに気づく頃には、完全に目が覚めていた。