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Dépôt de Météorites

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

トレードオフ

父は克己という言葉が大好きで、自分に厳しく、一度決めたことは曲げずに続けることを良しとしていた。良しとする程度ではなく、それに執着し依存していた。自分を律し、怠けようとする心と戦って勝ち、何が何でも始めたことは投げ出さない──そこだけを切り…

悪筆

パリの北駅の近く、友達と二人疲れ果てて小さなレストランに入った。夜遅かったし適当に食事を済ませたかったので、どこでもいいから目についた店に入ることにした。無愛想な店員さんが持ってきたメニューはすべて手書き文字で、いかにもフランス人らしくも…

甲子園

優勝したチームは夢を抱き続けば必ず叶うということを体現できたと言う負けたチームだって優勝したいと強く願っていただろうそれでも夢破れた 夢は必ず叶う必ずしも叶わないどっちでも同じなんだ叶う夢だから夢見るように計画されているあるいは叶わない体験…

無条件降伏

人生の冬を終わりにしたいともがけばもがくほど春は遠くなる未来に想いを馳せれば希望より不安に埋め尽くされるならば未来なんて考えなければいい今この瞬間しか本来存在していない明日は永遠に来ない明日になってみればそれは今日なのだから今日だけがどこ…

逆回転

生まれた時がいちばん叡智を持っていて全てと繋がり全てを知っていたひとつひとつ分離を経験していき否定されることを学び育っていけばいくほど忘れていく見失っていく 社会の中で成長していくことはイコール本来の魂の力を失っていくことだ慣れていくことは…

トマトに砂糖をかける

我が家では、トマトに砂糖をかけて食べるのが定番だった。父と祖母が極端な甘党で、何にでも砂糖をかける傾向があった。いちごに砂糖と練乳はよくあることかもしれないけれど、グレープフルーツにもこんもりと砂糖を山のように乗せていたものだった。 そんな…

メッセージ

掃き出し窓の外は真っ白い光の世界で、眩しさに滲んで見える。窓辺に立っている父の背中が見える。父はなぜだか何も身に着けておらず、裸のままで真っ白い光と向かい合っていた。白いレースのカーテンが窓を縁取って、柔らかく揺れている。 それに対して室内…

アナログという贅沢

紙を切って封筒を作り、書類に手書きで書き込んで印鑑を押して、糊で封をして、切手を貼る。そんな作業が久しぶりで、なんだかとても楽しかった。そんな事務的作業は非効率で前時代的だと嫌われる。会社組織で莫大な事務仕事があるなら、まあそれもわからな…