SITE MÉTÉORIQUE

Dépôt de Météorites

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

家族写真の違和感

家族が並んで、カメラの方を一斉に見つめている写真。一般的に、家族の幸せの象徴のように捉えられている、そんな家族写真を見るとき、どうにも抑えられない奇妙な違和感が訪れる。誰も、お互いのことを見ていない。家族以外の人にどう見られるかを意識した…

本物のユートピア

『ギヴァー 記憶を注ぐ者』 2014年の映画を観た。メリル・ストリープ ジェフ・ブリッジス出演。 ディストピアに住む人は、そこがユートピアだと信じている。だからその世界はディストピアであり続けることができるのかな、と感じた。過度に統制され管理され…

花を飾るということ

季節が来たら自然に枯れていく花を、盛のときに切り取って愛でるということが、理解できないわけではないけれど……。切り花を飾るということがどうしても苦手。なにかが違う花の香り。どこかが違う緑の吐息。そこに感じるものをうまく言葉にできない。 花を切…

マシュマロに溶ける

静かに 癒しの雨が降ってくる頭の上から 温かい やさしい雨が降ってくる雨粒は 鮮やかに躍動するピンク色や 穏やかで柔和な橙色に感じられる それは緊張を解きほぐし 心も身体も魂も 全部緩めてくれる不思議な秘薬の含まれた雨身体に染み渡る背骨の辺りに じ…

動物を食すこと、植物を食すこと

世の中には、少数派というものが存在することだけで気分の悪くなる人達がいるらしい。ヴィーガンやベジタリアンだったり、LGBTだったり、何でも構わない、ただ少数派である人々が自説を主張するだけで、どうしてそんなに叩こうとするのか私にはよくわからな…

猫の恩返し

もう二十年以上前のこと、家の庭によく来てくれた猫がいた。どこのお宅の猫か分からなかったけれど、飼われていた猫だったと思う。茶色っぽい縞のある毛色で、当時「焼津のマグロ」とかいう猫缶のCMに出ていた猫に似ていたので、うちではその子を「焼津」と…

ぺしゃんこになった顔の愛おしさ

『カステラ』 パク・ミンギュ著 読了した。誰にも似ていない、唯一無二の個性的な文章だなと思った。とてもポップでシュールで、リズムのある文体。圧倒的と言えるほど独特の世界観が確立されているところは村上春樹っぽいかなとも思ったけど、またちょっと…

交換日記

黒い表紙の分厚いノートが送られてきた。ベルベットのような手触りの黒の表紙に、黒のゴムがかけられた、B5サイズ程の立派なノートだった。それは、Y君と私の間でやり取りされている交換日記のようなものだった。ノートはすでに厚みの半分ほどまで、ぎっし…

エメラルドグリーンの森

胸の奥には やわらかな水を湛えた 小さな池がある優しく秘められたまま 忘れ去られた池は 凍りついたように静かだったじっと水面を見つめる すると 池の中心から ボコボコと湧き上がってくるエネルギーがあるやがてそれは噴水のように 高く噴き上がった水は…

電脳銀河に融ける

高卒認定試験を受ければ、高校に通わなくてもいいんじゃないか? そんな考えが突然湧いてきて、私はまるで天啓でも受けたように厳かな気持ちになった。なぜ今までそれに気づかなかったのだろう。すごいことに気がついてしまった! ターコイズブルーのiMacを…

集団のなかの無感覚

『少年が来る』 ハン・ガン著 読了した。 この作家さんの作品は、『菜食主義者』『すべての、白いものたちの』に続き三作目。詩的で静謐さを湛えた文章と、軍事政権下の弾圧という内容は全くマッチしないような気がしていて、読む前にはどんな内容になってい…

闇に沈みゆく岩

歯科医に行く時間が迫っていた。3時20分の予約で、もう間に合いそうもない。鉛のような脚と心を奮い立たせて、私はようやく歯科医院まで辿り着いた。いつものように受付を済ませ、いつものように待たされる。一秒一秒が身体に食い込むように通過していく。な…

不老不死の妙薬

アンチエイジングに必死な人は多いけれど。もしもその技術がものすごく進化して、誰でも僅かなお金を出せば簡単に若さが手に入る世の中になったとしたら、そのときに「若さ」というものが価値を持ち続けるのかどうか。そうなったとしたら、きっと価値観の大…

水を溢れさせる

心のなかに 透明なガラスのコップがある水が 溢れる寸前まで入っているあと一滴でも加えたら 溢れてしまいそう何とかしてこの水をこぼれさせないようにと 必死になっていた 蛇口からなにかの拍子に ぽたりと一滴の水が垂れたすると思った通り コップから水が…

多くを与えられすぎた罰

『バベル』 2006年の映画を観た。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作品。 バベルの塔が崩れて、言葉が通じなくなった。現代人も天まで届く塔を建てようとした。言葉は既にバラバラでこれ以上奪えない。それでは今度は何を奪われるのか。当たり前…

母と娘

そういえば、ネット通販で注文したものが届いていない気がする。期日指定で届くはずになっていたのだけれど、いつだっけ? もうとっくに予定の日は過ぎているのでは? 急にそのことが気になった私は、なぜか近所のIさんの家に確認に行った。角を曲がり、も…

カーテンを開けさえすれば

大地震など 天災が起こることを いくら心配したとしても自分でそれを変えることはできないでしょう心配したから起こるものでもないし 心配しなければ起こらないというわけでもないでしょうだから 心配するだけエネルギーの無駄 自分自身の身の上に起こること…

巨大な弓のような虹

南の島のリゾートらしき場所。高層階にある、室内の温水のプール、あるいはお風呂なのかわからないが、私はそのお湯に浸かりながら窓の外を見ていた。一面のガラス窓の外には、遥か見渡す限りのブルーラグーン。その手前には様々な形のプールや遊園地のアト…

記憶を閉じ込める引き出し

机の引き出しに、えんじ色の封筒が入っていた。周囲に細やかな金のエンボス加工がされている、綺麗な封筒だった。見覚えがないので、怪訝な気持ちで手にとった。宛先は間違いなく私だった。 中の便箋には、先日はレストランに来てくれてありがとう、あまり会…

最も美しい愛の在り処

『愛、アムール』 2012年、ミヒャエル・ハネケ監督作品を観た。カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品。あまりに重く、消化しきれずにところどころ休みながら、時間をかけて鑑賞した。 知的で穏やかな老紳士が、壮絶な介護によって、少しずつ、少しずつ追…

汚物を美しい箱に入れる

こんな恋愛ドラマを観た。 彼女は、彼の排泄物を自分の服になすりつけていた。アイボリー色のコートから始まり、全身になすりつけ終わって、彼女はようやく安心したというように、仄かな微笑みを口元に浮かべた。それは、彼女なりの愛情の表現だった。彼の中…

穢れが遺伝する

父の穢れを 父にそのまま返す私の中から膿を出すということ膿は綺麗なものじゃないから 汚くて当たり前汚いものに手を突っ込まなければ綺麗事で良い人のふりをしていても 何も変わらない 穢れは父のものだから 暴力を振るう夫が振るわせる妻の方が悪いと主張…

卑屈になる覚悟をする

熊を飼うことにした。誘惑に抵抗することが出来なくて、とうとう熊を家へ連れてきた。黒い大きな体を揺らして、熊は私の与えたごはんを美味しそうに食べた。熊はとても大きいので、居間に彼がいると家が狭くなったような錯覚に陥った。 猫のシルくんは、熊を…

祈りとは、感謝すること

私のなかの神 世界 宇宙に祈りを捧げることは 感謝することなのだと思う 今すでに すべてを与えられていることを願いさえも与えられていることに願う必要さえなかったことに私という自我など本当はどこにも居ないということに感謝する 苦しんだり悲しんだり…

持てる者のヘゲモニーが僕らを苦しめる

韓国ドラマ『バリでの出来事』 視聴終了。 貧しい男女と裕福な男女、四人が織りなす愛と嫉妬の複雑に絡み合う人間ドラマ。愛憎劇の傑作との呼び声が高い作品。十五年近く前にも一度見ていて、今回は二度目。 裕福な者が貧しい者を虐げる、格差社会の構造を描…

スロットマシンで高得点が出る

気づくと、隣にK君が寝ていた。なぜだかはわからないが、他にも何人かが私の部屋に散らばって寝転がっていた気がする。夜中に起き上がった彼は、枕元に置いてある私の化粧品の瓶を幾つか倒してしまった。瓶と瓶がぶつかり、冷たく尖った音が響いた。彼は、…

残酷すぎる現実を動かすために

『トガニ 幼き瞳の告発』 2011年の韓国映画を観た。あまりの怒りで涙が止まらないという体験を、多分初めて味わった。これを書きながらまだ心が震えている。同名の小説が原作で、実話を元に構成された作品だそう。こんなにも悲惨な現実が本当にあった事だな…

背徳の香り

こんな映画を観た。フランス人ハーフの青年が、海辺の街を訪れるところから物語は始まる。彼の父はフランス人、母は日本人で、母は若くして彼の地で亡くなった。青年は二十歳くらい、幼少期を除けば初めての訪日だった。日本には、母の姉に当たる伯母と祖父…

願いはすでに叶っている

“波動を上げて イメージすれば 願いは叶えられます” 願いを叶えるなんて 今更どうでもよくない?もう叶っているのに 叶ってないことは本当には願っていないことなんだエゴが本当には要らないものを望んでいるだけあるいは 今はまだその途上にあるということ …

光の滝の瞑想

宇宙から、滝のように光を受けるイメージング。滝の水に打たれて修業をするというのがあるけれど、あんな感じ。 ー ものすごい量の光の滝を、頭頂部に受ける。真っ白な光の糸が、数千万、数億、数え切れないほどの束になって、身体の中を貫いて落ちていく。 …