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隕石の堆積場

夢日記

謎の譜面

私がその譜面を食い入るように見ていたためか、先生は譜面を貸してくれた。それはギターのための譜面のようであり、ピアノの楽譜のようでもあり、そのどちらでもなかった。どうやって読み解いていいかわからない、謎の記号と濃密に絡まりあった私は、不思議…

擦れ違い

彼が前方から歩いてきて、私は顔を上げられない。前髪が乱れているだろうことが気になっていた。彼は、私のすぐ前で立ち止まった。私は自分の机が邪魔しているのだと思って、いや、思ったふりをして、机を少し脇へとずらし、通路を広げてあげる。彼はなにか…

アルターエゴ

巨きな帆立貝のような二枚貝があり、私はその頑なに閉ざされた口をこじ開けようとした。ボッティチェッリの絵画でヴィーナスが乗っているみたいな貝。その中には、裸の男性が、胎児のように丸くなって入っている。何故だかそのことをあらかじめ知っていた。…

純白の島をリポートする

かつてのスペイン風邪という名称のように、今回の〇〇風邪の名称のもととなった〇〇島はどの位置にあるでしょうか。三択でお答えください。緯度30度、緯度55度、緯度65度。正解は緯度65度。その島は南アメリカ大陸の南端に、おまけのようにくっつく…

赤い夢

憶えているいちばん古い夢はなんだろうと考えてみると、小学三年のときに見た、血尿が出る夢に思い当たる。いつものように用を足すと、白い便器の中が真っ赤に染まっている。その赤い色があまりにも濃度が高く鮮やかで、見つめているとそのなかに眩暈ととも…

嗚咽

ベッドに横たわり、彼に背を向けて、泣いていた。泣くというよりも、何かが溢れてしまい吐き出すしかない。嗚咽というよりも、魂が作動する機械音のようで、自分でも見知らぬ、どこか生命とは遠い場所で歯車が軋むような音だった。彼が戸惑っているのはわか…

理科教師

朝七時過ぎに起きなければならない。でも起きられない。七時半くらいから放映されるドラマがあり、俳優Cが主演している。私はそれを見たかった。起きなければと思っているうち数十分眠ってしまい、気づくと八時過ぎだった。重い体を引き摺って起き出す。ド…

ケーブルカー乗り場

枯れた芝生のような、踏みしだかれた草に覆われた空き地が続いていた。片側は崖、片側は民家が並んでいて、その隙間に細く続く空き地は、K貝塚へと続く(実在しない)抜け道だった。私は母と一緒にその抜け道を歩く。母は、若々しいワインレッドのダウンジ…

空飛ぶ自転車

私たちは、大きく弧を描く形に整列した。その三日月型のパズルが揃うための最後のピースとなったのは私で、そのために教師に目をつけられたのか、いちばんはじめに指名された。北海道のような寒冷地で、イヤホンは機能を失うのかどうかと尋ねられた。私は答…

モルダバイトのピアス

モルダバイトのピアスを買った。かなり大きな丸いモルダバイトのまわりに、透明な小さな石が散りばめられている、太陽か、ひまわりを思わせるような形。深いグリーンが稀に見る美しい色だった。20万と端数という結構な値段にもかかわらず、私は何故か購入を…

渡し船

彼は船頭だった。木造の粗末な渡し船で、河の対岸へと客を渡す。はにかんだ笑顔。船を係留するロープを大切そうに束ね、命あるものを扱うかのように、優しい眼差しで見つめる。何気ない所作に、彼だけに固有の光が宿り、さらさらとその美しさが降り積もる音…

未亡人

愛する人に先立たれて、心から絶望しました。生きる希望を完全に見失い、何度後を追おうと思ったかしれません。それでも生きないといけないと思いました。そうしないと、あの人に怒られると思ったからです。これから新しい出会いがあれば、すぐにでもその人…

ブレーキを踏む

強くブレーキペダルを踏み込む。全身の力を右足に込めてぐっと踏んでいるのに、車にそれがうまく伝わっていない感じがする。車はするすると進み、前方の車すれすれでようやく止まった。ほっと胸を撫でおろす間もなく、信号が青になる。東インターチェンジ付…

花の形をした椅子

ホテルの部屋に母を残し、私は廊下へと出て、どこかへ向かっている。ホテルの建物は大きく、込み入った造りで、歩いているうちに私はどこへ向かっているのかよくわからなくなった。歩けど歩けど、同じようなところを堂々巡りしている。 ある階のロビーに、マ…

仮面の下

芸能人の集まる、演技大賞のようなイベントがあり、私は友人に誘われてその会場へ向かった。友人のコネで、限定のVIP席に座れることになっていた。誘った友人は来れなくなり、私は一人ぼっちで慣れない席に座るのに気後れを感じ、緊張していた。まだ開始まで…

待合室

古い駅舎の待合室のような場所にいる。旧式のストーブが焚かれていて、ガラス窓が白く曇っていた。私はなぜか、裸で毛布にくるまって、壁際のベンチでうずくまっている。待合室には数人の男性がいて、みな私を見て、見ぬふりをしている。新しく入ってきた旅…

マルーンの樹

マルーンは、父と二人で暮らしていた。人里離れた森の、丸木造りの小さな家。暖炉の前で、父はマルーンの長い髪を編んでいる。パチパチと薪が燃える音。温かい橙色の濃淡が、二人の頬に揺れている。まだ幼い彼女の髪はとても豊かで、腰よりも長く、深みのあ…

カーキ色のミリタリージャケット

犯人は足音を忍ばせて、自宅マンションへと近づく。海草がなびくようにするりと身を翻し、ドアの隙間に吸い込まれた。正確には彼は犯人ではない。犯人だと誤解されているだけだ。リビングには蒼く月光が差し込み、光は液体のように廊下まで溢れ出していた。…

自由という刑罰

脚本家Mが、高校の国語教師だった。彼の出した課題は、彼自身の書いた脚本を参考に、それに続けて小説なり脚本なりを書いてくることだった。一冊の分厚いノートが手渡された。ノートのはじめの数ページには、彼の脚本の登場人物が写真入りで紹介されている…

土曜日に塀を立てる

女優のHと私は、二人で歓談していた。たわいもない話ばかりだけれど、Hは親しみやすく、驕ったところの全くない人だったので、好感が持てた。彼女にとって日本語は外国語であるのに、それを気づかせないほど流暢に話した。いつの間にそれほど上手に話せる…

仙境に取り残される

蒼く蒼く沈んだ、神秘の湖の水面に、飛沫が舞っていた。子供たちが数人水遊びをしているプールを、私はぼんやりと眺めている。一般にイメージされる、賑やかで人工的、塩素の匂いがして単一的な色彩のプールとは、対極にあるような気配。幽玄の里とでも名付…

魂の造形

兄はいつも、私に対して、ひどい悪態ばかりついた。兄の言葉が汚く、ゲスな行動ばかり取るのは、自身の繊細すぎて厄介な内面を持て余しているからだと、私はよく知っていた。鉛筆のように自身を荒く削り、ようやく芯に火を燈すことができる。母や妹は、兄に…

子猫を保護する

デパートで待ち合わせして、学生時代の友人四人で昼食でも取る予定だったのだろう。私たちはエスカレーターを下りながら談笑していた。一通り館内を巡り、文字通りのウィンドウショッピングを楽しんだ。Hは以前よりスリムになっていて、そのせいか、すらっ…

スニーカーを磨き上げる

大きな陸橋を渡った先に、古めかしい石造りの建物がある。私は陸橋の手前でハンドルを握りながら、信号待ちをしていた。何度も時計を見れば時が速く進むというわけでもないのに、ひっきりなしに左手首の時計へと目を落とす。石造りの立派な建築物は、とある…

春めいた午後の沈黙

地図を見ると、栃木県か群馬県のあたりのようだが、実際の地図とは全く異なる、聞いたことのない地名、実在しない国道、見覚えのない図柄がそこにあった。 K君とその奥さん、私と、友人Sの四人で、国内旅行に行くことになった。K君が車を運転してくれて、…

デキルシン

某アーティストが、ニューシングル「できる心(デキルシン)」を発表し、それがドラマの主題歌に決定したと、テレビをつけたら流れてきた。そのドラマは、宇宙から来た〇〇から〇〇を守るため、〇〇となった主人公が、〇〇と戦うストーリーだと、ボードに書…

正反対のふたり

地元の学校が、私たち三年生が卒業すると共に閉校することになって、最後の謝恩会のようなものが開かれた。その教室は、カラオケボックスのような一室に変わっていて、薄暗い蛍光灯の下、十数人がセンターテーブルを囲んでいた。 私は、T君の隣りに座ってい…

色に染まらない者

スピリチュアルに関心のある人々が集うサイトを見つけて、コメントを書き込んだ。その内容は忘れてしまったけれど、翌日それに対して、サイトの運営人から返事があった。当たり障りのない言葉をさらにオブラートに包んだような、歯切れの悪い言葉が並んでい…

交換日記

黒い表紙の分厚いノートが送られてきた。ベルベットのような手触りの黒の表紙に、黒のゴムがかけられた、B5サイズ程の立派なノートだった。それは、Y君と私の間でやり取りされている交換日記のようなものだった。ノートはすでに厚みの半分ほどまで、ぎっし…

電脳銀河に融ける

高卒認定試験を受ければ、高校に通わなくてもいいんじゃないか? そんな考えが突然湧いてきて、私はまるで天啓でも受けたように厳かな気持ちになった。なぜ今までそれに気づかなかったのだろう。すごいことに気がついてしまった! ターコイズブルーのiMacを…