SITE MÉTÉORIQUE

Dépôt de Météorites

犬に扮した少女たち

たしか犬を4匹飼ったことがある気がする。初めは(現実に一緒に過ごした)ポメラニアンのネル。2匹目はどんな子だったかしら。茶色くてふわふわした短い毛の中型犬。名前も思い出せない。迎え入れたと思ったらいつの間にかどこかへいなくなってしまって、…

サンダルウッドは好きじゃない

名刺サイズのカードを手に、そこに書かれた住所に向かう。新しい美容院は全面ガラス張りで、外から店内が丸見え。鏡とガラスで光は反射を幾度も繰り返し、迷子になって神経質に痙攣しているかのように見える。担当になったのはその店で一番年上らしい、中年…

カルサイトの尖塔

その尖塔は、半透明の石を積み上げて形成されていた。両腕では抱えられないほどの大きさの石が組み合わされ、巧みに編み上げられたように、仰ぎ見るほどの高さの塔が出来上がっている。石はカルサイトのような質感であり、緑や青や橙色など様々な色合いのも…

S字状の脚線

周りの人たちがみなお洒落をしていたので、私も少し気取った服を着なければいけないと考える。数色の鮮やかな絵の具を思いのままに投げつけたみたいな、抽象画のようなプリントのキャミソールワンピースを着る。したたった絵の具が飛散して、色とりどりの原…

ハシビロコウの身上書

ゼミのために集められたのは真新しい図書室で、没個性的なくすんだ乳白色の壁に四方を囲まれ、まだひとつの装飾もないその部屋は、どことなく油性塗料の匂いがしてきそうだった。そこに集った蔵書たちは真反対に、古びてセピア色を帯び、それぞれの時間を重…

メタフィクション

壮大なSFスペクタクル巨編を観る。それが実写だったかアニメだったかがピンポイントで抜け落ちるように思い出せない。主な登場人物は数十人、ストーリーも複雑で難解すぎて、見終わっても良く理解できない。生かす人間と処理する人間を選ぶためのアルゴリズ…

病院のアクティビティ

母の入院先に見舞いに行く。大学の近くのT市に自分の部屋があったけれど、実家と母の病院とを往復するばかりでなかなかT市に帰れない日々。不動産屋さんに、この頃は全然大学に行けてないんですと話し、部屋を解約して出るかどうか迷っている。本心ではこれ…

摩擦係数ゼロ

自宅へと戻る下り坂で、いつもと違う一本奥の道へ入ってみる。見知らぬ水路が視界に現れる。水音が彼方に低く響いている。湿度がとても高い。湿気と闇の粒子とが手を取り合って、螺旋を描きながら刻々と沈殿していくよう。水路を跨ぐため、少し遠回りをしな…

靴がない

見知らぬ大学の見知らぬ校舎に立ち入ってから気がつく。今日は祝日だった。授業はなく、サークル活動などで集まった学生たちがあちらこちらで屯していたりそぞろ歩いていたりする。誰ひとり知る人はいないし、誰も私のことなど関心がない。誰もが自分の楽し…

マトリョーシカのような

自宅マンションの入口で、見知らぬ男女が談笑している。挨拶をすべきか迷いながらも黙ったまま脇をすり抜けて、エレベーターに乗り込む。自宅があるはずの4階のボタンを押す。見知らぬ男女の残像を反芻しながらぼんやりしていると扉が開き、降りるとなぜか…

汚れた脚

夜の国道X号線を、東に向かって歩いている。アスファルトの上を裸足で、膝丈のコットンのスカートを履いている。膝から下は剥き出しで、黒ずんで薄汚れている。コットンのスカートには何か柄が描かれていたけれど、意識が飽和していたせいかどんな色柄だっ…

ダウナーマジック

彼にトランプのカードを選ばせた。彼は黒(スペード?)のキング、私は赤(ハート?)のクイーン。二枚のカードを重ねて上下を入れ替え、彼にカードを引かせる。自分のカードを選べば勝ちだ。私は、カードの上下を入れ替えているふりをするだけで実際には入…

銀色のうさぎ

子うさぎを飼っている。白く艶がありシルバーグレイがかって見える毛色。とてもおとなしく、純粋で一片の穢れもないことは瞳を見ればわかる。私はうさぎを連れてブリーダーの家へ行き、一緒に生まれたきょうだい達に会わせようとする。きょうだいは3匹いて…

錦鯉

庭に出ると、世界は白夜のなかに沈んでいる感じがした。ほの暗く白い闇のなかで、自宅のガレージが池になっているのを見つける。池は家の前の道路まで続いていた。塀の上に見知らぬ猫がいる。猫は身構えると、池のなかにぽちゃんと音を立てて飛び込んだ。水…

とろける毒ケーキ

夢のなかでドラマを観ていた。キム・ナムギルとムン・チェウォンが主演のスパイアクションぽい作品。王女がパビリオン竣工の祝賀儀式に参列した際、大きな柱が突然折れて大惨事となる。主演の二人は国家情報院のエージェントか何かで、王女を土壇場で救出す…

青白い幽体

ベッドで横向きに眠っていると、腕の中にネルちゃん(かつての愛犬)がいるのが感じられた。布団をかぶっていたしわざわざ確かめようとはしなかったけれど、被毛のふわふわした感覚とぬくもりでたしかにここにネルちゃんが一緒にいるんだと感じた。 その直後…

外国語をマスター

父の小言から逃れて自室に閉じこもり、ベッドの上に転がって、慰めを求めてラジオをつける。どこの局かも確かめないで耳を預ける。なんの番組だかわからないが、イ・ビョンホンが出ていて、しかもほとんど完璧な日本語を操っているのでびっくりする。アクセ…

二度目の卒業

ラジオから新進気鋭のバンドの紹介。ラジオなんだけどなぜか映像も配信されており、次々に新しいバンドの音楽がワンフレーズ、そして彼らの日常生活の一コマや、応援している友人やファンなどの声が手短に紹介される。紹介リストには聞いたことのない何十組…

窓辺のメッセージ

掃き出し窓の外は真っ白い光の世界で、眩しさに滲んで見える。窓辺に立っている父の背中が見える。父はなぜだか何も身に着けておらず、裸のままで真っ白い光と向かい合っていた。白いレースのカーテンが窓を縁取って、柔らかく揺れている。 それに対して室内…

両性具有

蒼い闇に沈んだ古い診察室で、カンテラの灯りが滲んでいる。医師と私は対面して座っていた。すべてのものの影が濃く、そして均一な黒さで、医師たちや私といった実態を持つ肉体が投影するものではなく、むしろその黒々とした何かの投影が私たちであるような…

痙攣

ベッドに眠る私は身体が意のままにならず、痙攣のように震えたり、ビクッとしたり、海老反りになったり、他人に操作されているかのように動いてしまう。それが何故か決して不快ではなく、むしろその動きに身を委ねることが徐々に心地よくなってくる。誰かが…

ノイズ

暗闇の中を走る車の後部座席で、流れている音楽に耳を傾けるが、大音量であるがゆえに快適でない。運転席には、歳が離れているせいかあまり親しく話したことのない従兄。音楽は大音量なのに、何の曲なのかどのようなメロディーなのかが全く感じ取れない。辛…

石読みのレッスン

かつてピアノを習っていたT先生のお宅。様々な天然石が飾られ、先生自身も大振りのネックレスをしている。くすんだ淡い緑の石と、茶色でもえんじでも紫でもない分類を拒むような曖昧な色の石とが、交互に並んでいるネックレス。その高潔な曖昧さを持つ石に…

鍋のなかの子犬

コーンポタージュのような、淡いクリーム色の液体を鍋に入れ、火を着ける。ゆっくりと温められていく過程に、私は鍋から離れ、部屋の中にいるはずの三匹の犬を探す。二匹は元気に戯れていた。もう一匹の、家に来たばかりの子犬が見当たらない。私は鍋へと戻…

接写

私はその人の顔が見られない。恥ずかしいからか、怖いからか、愛しすぎるからなのか、解らない。目を背け、逃げ続けているのに、そうすればするほど彼の顔が明確に瞼に映り始める。マクロレンズで接写するように、目元の皺の一本一本、鼻筋や小鼻の形、笑う…

脳内ハッキング

職場に持ち込んだぬいぐるみや人形が幾つか。自分の癒やしのために並べていたその子達をじっと見つめていると、昼間の何時間しか一緒にいないのに、彼らに苦痛を強いているような気分になってくる。家に連れて帰ることを決め、大きめのトートバッグに彼らを…

芽吹き

体中のあちこちの毛穴から、小さな芽が出て、緑色の細かい葉が茂りだす。胴体や腕、脚のあちこちに、圧力に耐えかねたように次々と芽吹いてくる。肌の上に隆起してくる緑色の異物。苔みたいに平らに浸食して来て、鱗となったように肌を覆う箇所もあった。陰…

蠍座の箱を開ける

十二星座の可愛らしいイラストが描かれたパッケージの、密封されたトレイが十二個。息を殺し、そのうち一つの蓋のフィルムをほんの少し剥がす。何事も起こらなくて安心する。蠍の絵の描かれたものが気になる。もし蠍が出てきたら大変。でもどうしても気にな…

過去の写真を燃やす

大きな画集の中に、密かに心を寄せていた人の写真を隠していた。新聞紙ほどの大きさの分厚い画集と画集の間に挟まれた、雑誌か何かから切り取られた笑顔の写真。広いロッカーのような、個人のものを収納するスペースに、様々なものに紛れて画集はしまわれて…

針のような髪

テーブルの上に髪の毛が落ちていて、私はそれを手にとって弄ぶ。とても硬く芯のある短い髪。針かと見紛うような、下手をすると指に刺さりそうな危うい毛髪は、指先で銀色に鈍く光った。その髪質から、同席している男性のものだろうと推測できた。 彼とその友…