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Dépôt de Météorites

2022-01-01から1年間の記事一覧

自分を演技する

韓国ドラマ『エージェントなお仕事』 Netflixにて視聴。この頃、感想カテゴリはNetflixのドラマばかりになってしまっているな。人をダメにする配信動画。 俳優のマネージメントをする会社が舞台。マネージャーたちは、自分と会社の都合で相手に嘘をつき、騙…

芽吹き

体中のあちこちの毛穴から、小さな芽が出て、緑色の細かい葉が茂りだす。胴体や腕、脚のあちこちに、圧力に耐えかねたように次々と芽吹いてくる。肌の上に隆起してくる緑色の異物。苔みたいに平らに浸食して来て、鱗となったように肌を覆う箇所もあった。陰…

戸籍謄本

父が亡くなったあと、相続手続きのために父の生まれてから現在まですべての戸籍が必要となって、初めて戸籍謄本というものをしみじみと見た。印字された謄本はここ十数年くらいで、それ以前は全部手書き。間違いが起こらないように「拾」とか「弐拾」とかの…

観照者

自分の中にいたら駄目 自分の外へ出る社会の中にいたら駄目 社会の外へ出る 光と闇 善と悪 安心と不安遅いと速い 多いと少ない 賢いと愚かしいポジティブとネガティブいつでも両極を俯瞰する位置にいる両方を同時に知るどちらかを求めない 内部に取り込まれ…

未知というキャパシティ

夢のなかで、今までに自分の脳内にあった過去の出来事がすべて本当だったのかどうか定かでなくなって、こんなことが本当にあったのか?なかったのか?何もかも自信がなくなってしまうことがよくある。過去の記憶として脳に保存されているデータが真実なのか…

「ありのまま」の定義

「ありのままの私」「あるがままの自分」とよく言うけれど、どういう意味なのか、定義するのは難しい。社会の価値観に合わせた、他人によく思われるための在り方から脱して、自分の価値観で生きるという文脈で使われる。社会的理想像の対極としての、自分軸…

宇宙人が見たW杯

宇宙人がもし地球に偵察に来ていたら、ボールを蹴っ飛ばして四角いゴールに入れて点を競い合うという遊びに世界中が熱狂し、巨額のお金が動くなんて、不思議で仕方ないんじゃないか。ミサイルが飛び交うような現代に、槍やハンマーをどれだけ遠くに投げるか…

解決ゲーム

生活の苦労とか体の不調とかをものすごくアピールしてくる人がよくいる自分はこんなに大変なんだだから頑張っててすごいでしょすごいって認めてよねそうやって圧力をかけられているように感じる大変である現実を自ら生み出して苦労することに陶酔しているよ…

愛の幻を描いたデッサン

韓国ドラマ『あなたに似た人』 Netflixにて視聴。 愛の奈落に落ちていく人々を、美化することなく残酷なまでに正確にデッサンしたような作品。とてもグロテスクに仕上がっているけれど、直視してしまう、するしかない、逃げ道のない絵画。赤と緑という補色が…

便利さという悪魔

マイナンバーカードが事実上義務化になり、保険証まで廃止になるらしいと言われていて、なんだか面倒なことになりそうで嫌になる。マイナンバーカードを普及させることでデジタル化していますとアピールしたがっているように見えるけれど、カードを持つこと…

蠍座の箱を開ける

十二星座の可愛らしいイラストが描かれたパッケージの、密封されたトレイが十二個。息を殺し、そのうち一つの蓋のフィルムをほんの少し剥がす。何事も起こらなくて安心する。蠍の絵の描かれたものが気になる。もし蠍が出てきたら大変。でもどうしても気にな…

過去の写真を燃やす

大きな画集の中に、密かに心を寄せていた人の写真を隠していた。新聞紙ほどの大きさの分厚い画集と画集の間に挟まれた、雑誌か何かから切り取られた笑顔の写真。広いロッカーのような、個人のものを収納するスペースに、様々なものに紛れて画集はしまわれて…

夢を書き替える

悲しい夢を見た後に、まだ完全に意識が戻ってこないうち、その続きのストーリーを創作してしまうといい。その悲しみや苦しみを雪ぐような物語に涙する。それが勝手な妄想だという非難の声はまだ届かない、淡い領域でたゆたう。 そうすると、何が夢で何が創作…

夢遊病シェルター

私が一人で歩いている様子を見た友達に、夢遊病のようだとよく言われた。ぼんやりとして心ここに在らずといった風に見えるそう。確かに、一人の時は外界との接続スイッチを切っているかもしれない。スイッチを切ると、他の人は世界にいないと同然になり、外…

逆説的な事実

溜め息をついたらだめ 幸福が逃げていくよ面倒臭いと言っちゃだめ 余計面倒に感じるよ疲れたと言っちゃだめ もっと疲れるよこういう言葉をよく耳にする そうしてはだめだと頭で考えてそれを自分に禁じることができるものだろうか少なくとも私には出来なかっ…

未熟なバナナ

まだ熟していない青いバナナが好き。シュガースポットという黒い斑点が出てきた頃が一番美味しいという人が当然多いだろうけど、あのとろっとした、熟れ切ったもの独特の退廃した感じがあまり好みじゃない。青臭くて、まだ皮もすんなり剥けないくらいの、未…

植え付けられた欲望

たまたま見かけたお洒落な女性が持っていたバッグを見てああいうのが欲しいなと思ったごく普通の当たり前の気持ちかもしれない見かけなければ欲しいとは思わなかったから必要不可欠なものではない欲を刺激された社会に溢れる広告と同じこれを持ったら素敵で…

無限の富があったら

もしも無限の財力があってどれほど使っても使い切れない富を手にしていたとしたら何をするだろうかと考える 自分の欲しい物をすべて手に入れしたいことをし尽くして満たし切ったら社会のため人のために使うだろう他者のために自分を使うだろう多くの善良な人…

母のハンドタオル

小学生の時、習字の授業が始まるので、道具を一式用意した。あと、筆を拭いたりする雑巾が必要だった。ちょうど良さそうな小さめのタオルが見つかった。黄色で、どこかの宝石店のロゴが入っていた記憶がある。ノベルティとして貰ったもののようだ。私は母に…

言葉の要らない関係

黙ったまま何時間でも一緒にいられる関係 緩衝材のように意味のない言葉を詰め込み合い潤滑剤のような笑顔で距離を測り合うそういう関係は要らない 傷つけ合っても癒やし合える奪い合っても与え合える何も取り繕わない関係動物みたいになき声だけでいい関係

エンジェルナンバー44

子供の頃、ある夜更けにふと目覚めて、時計を見たら3時44分だった。そしてまた眠りに揺られて、もう一度目覚めたら4時44分。気味が悪くなったのをよく覚えている。よく通っていた病院で、窓口や部屋の番号に4が使われていないのは、死を連想させて縁起が悪…

言霊

言霊が大切とよく言われている。「疲れた」とばかり口にしていると余計に精神疲労を感じるようになると聞いたので、できるだけ疲れたと言わないようにしてみた。あっ、また言っちゃった。どれだけ疲れたと言っていたか気づくとともに、言わないようにしなく…

針のような髪

テーブルの上に髪の毛が落ちていて、私はそれを手にとって弄ぶ。とても硬く芯のある短い髪。針かと見紛うような、下手をすると指に刺さりそうな危うい毛髪は、指先で銀色に鈍く光った。その髪質から、同席している男性のものだろうと推測できた。 彼とその友…

手を握れなかった

父の亡くなる前、最後に会ったのは、誤嚥性肺炎で緊急入院したM病院だった。それまで半年ほど、特別養護老人ホームに入っていたけれど、コロナ対応のため画面越しにしか会うことはできなかった。ホームから病院を受診すると連絡があったけれど、私自身も診…

香りのマジック

10月は、庭にある銀木犀の矮性種がたくさん花をつけ、ふわっと風とともに良い香りが室内に流れ込んでくる。この「自然の香り」に勝るものはないというのが自分としての結論で、3月は沈丁花、5月はダマスク系のオールドローズが香るようにと、それぞれ私…

オレンジ色の髪の天使

その女性は、熟れたオレンジのような色の豊かな髪を腰のあたりまで垂らし、サイドの髪を一部だけ三編みにしていた。何故だかその若い女性が、自分を守護する役目の天使だということが判っていた。 天使は、私を様々な場所へ連れ回した。家具売り場のような場…

小鳥の骸

家の庭によく小鳥が来ている。雀のような小さな鳥たちが庭木に止まり、よく戯れている。観察していると、蝶も様々な形態のが飛んでいる。黄色、瑠璃色、真っ白、黒っぽい模様のあるもの、大きさも大小様々。こんな猫の額のような庭でも、小さな自然の営みの…

超新星爆発の瞑想

不安になった時 動揺した時自分の体を包み込むようにギュッと抱きしめてあげるイメージをする全身を強く締め付ける その圧力に身を委ねる圧力がどんどん増していき 不安も恐怖もどんどん圧縮されるやがて原子構造が変わるように それは変質し私の体はミクロ…

Twin Ray

その人は分厚い透明なガラスの向こうにいてどうやっても手が届かない外側の世界はガラスの向こう側に存在し 冷たく拒絶され 自分の内側にどこまでも深く潜っていってある一点の極に達すると 世界が反転し宇宙の果てでやっと逢える そんな気がしていた でも今…

焦り

はやくはやくと焦っていた結果が出ないといけない前へ進まないといけない自由にならないといけない縛られていてはいけない治らなければいけない正さなければいけないそう思っていることさえ忘れてしまった時気づくと転んで膝を擦り剥いている はやく薬から自…