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便利さという悪魔

マイナンバーカードが事実上義務化になり、保険証まで廃止になるらしいと言われていて、なんだか面倒なことになりそうで嫌になる。
マイナンバーカードを普及させることでデジタル化していますとアピールしたがっているように見えるけれど、カードを持つことによる私たちの利便性なんてたかが知れている。むしろカードを作る手間のほうがずっと大きい。住民票を取ることなんてそんなに頻繁にあるわけではないし。中小の医療機関にも多大な負担となるだろうに。

本当のデジタル化は、縦割りの仕組みを横につなげて、市役所やら年金事務所やらあちこちに手続きに行かなくても一回で手続きが済むような仕組みを作ってくれることだと思う。それは行政の側の仕組みの問題で、国民がカード作成を強制されることでは無く、矛先がズレている気がする。
すべての国民に番号をつけたとしても、それを利用するのは行政の内部だけにすればいいのでは。私たちに知らせる意味なんて別に無くない?

個人のためではなく、行政が得をするためだけに進めているように見える。銀行にマイナンバーを知らせなければいけないのもそう。国民のためであると言う意味が解らない。
ポイントを付けますよ?という、札束で頬を張るような、ほとんど脅しのような、足元を見たやり方も腹立たしい。意地でもカードなんか作るもんかと思ったよ。

病院から保健所にFAXしか送れないとか、そういうところはデジタル化が必要でしょう。必要なのは行政の内部であって、なんでもかんでもデジタルにすればいいってものではない。利便性を説いてもっと不便になっているとしか思えない。綺麗な言葉で丸め込まれて、詐欺に遭っているような気分。
デジタルディストピアまっしぐらに、どうかならないでくださいな。

どんなことでも、便利になれば逆の作用もある。便利な機械を買えばそのメンテナンスに余計手間がかかったり、情報が簡単に手に入るようになれば、くだらない価値のない情報の海に溺れて心身に負荷がかかる。より良い世界になっているようで、実はより面倒くさい世界になっているような気がする。

それは多くの人が無言の裡に感じていて、昔は良かった的なレトロブームがじわじわと広がっているのではないか?と考えてしまう。私も昔はよかったなと知らず知らず感じていることが多い。便利さという悪魔に魂を売り渡さないようにしなくちゃと思う。