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Dépôt de Météorites

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

逆説的な事実

溜め息をついたらだめ 幸福が逃げていくよ面倒臭いと言っちゃだめ 余計面倒に感じるよ疲れたと言っちゃだめ もっと疲れるよこういう言葉をよく耳にする そうしてはだめだと頭で考えてそれを自分に禁じることができるものだろうか少なくとも私には出来なかっ…

未熟なバナナ

まだ熟していない青いバナナが好き。シュガースポットという黒い斑点が出てきた頃が一番美味しいという人が当然多いだろうけど、あのとろっとした、熟れ切ったもの独特の退廃した感じがあまり好みじゃない。青臭くて、まだ皮もすんなり剥けないくらいの、未…

植え付けられた欲望

たまたま見かけたお洒落な女性が持っていたバッグを見てああいうのが欲しいなと思ったごく普通の当たり前の気持ちかもしれない見かけなければ欲しいとは思わなかったから必要不可欠なものではない欲を刺激された社会に溢れる広告と同じこれを持ったら素敵で…

無限の富があったら

もしも無限の財力があってどれほど使っても使い切れない富を手にしていたとしたら何をするだろうかと考える 自分の欲しい物をすべて手に入れしたいことをし尽くして満たし切ったら社会のため人のために使うだろう他者のために自分を使うだろう多くの善良な人…

母のハンドタオル

小学生の時、習字の授業が始まるので、道具を一式用意した。あと、筆を拭いたりする雑巾が必要だった。ちょうど良さそうな小さめのタオルが見つかった。黄色で、どこかの宝石店のロゴが入っていた記憶がある。ノベルティとして貰ったもののようだ。私は母に…

言葉の要らない関係

黙ったまま何時間でも一緒にいられる関係 緩衝材のように意味のない言葉を詰め込み合い潤滑剤のような笑顔で距離を測り合うそういう関係は要らない 傷つけ合っても癒やし合える奪い合っても与え合える何も取り繕わない関係動物みたいになき声だけでいい関係

エンジェルナンバー44

子供の頃、ある夜更けにふと目覚めて、時計を見たら3時44分だった。そしてまた眠りに揺られて、もう一度目覚めたら4時44分。気味が悪くなったのをよく覚えている。よく通っていた病院で、窓口や部屋の番号に4が使われていないのは、死を連想させて縁起が悪…

言霊

言霊が大切とよく言われている。「疲れた」とばかり口にしていると余計に精神疲労を感じるようになると聞いたので、できるだけ疲れたと言わないようにしてみた。あっ、また言っちゃった。どれだけ疲れたと言っていたか気づくとともに、言わないようにしなく…

針のような髪

テーブルの上に髪の毛が落ちていて、私はそれを手にとって弄ぶ。とても硬く芯のある短い髪。針かと見紛うような、下手をすると指に刺さりそうな危うい毛髪は、指先で銀色に鈍く光った。その髪質から、同席している男性のものだろうと推測できた。 彼とその友…