SITE MÉTÉORIQUE

Dépôt de Météorites

接写

私はその人の顔が見られない。恥ずかしいからか、怖いからか、愛しすぎるからなのか、解らない。目を背け、逃げ続けているのに、そうすればするほど彼の顔が明確に瞼に映り始める。マクロレンズで接写するように、目元の皺の一本一本、鼻筋や小鼻の形、笑うと密やかに動く口元の皮膚、それらを拡大して観察するように、ひとつひとつが意識に深く刻まれていく。

何百枚、何千枚の記録写真を連写し、全てが私の体のどこかに格納されていく。そのファイルの在処は、頭脳ではなく、どこか体の奥深く、自分でも把握できない黒い黒い小宇宙の中。