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氷の結晶の瞑想

澄み切った冬の朝焼けの下
凍りつく空気を胸いっぱいに吸い込む
ダイヤモンドダストのような
きらきらと美しい結晶が体の中に流れ込んでくる
深く息を吐くと
結晶は体内で温められほんの少し溶けた形で
さらに光を強く反射してきらめく
細やかな結晶は息の流れに乗って
ぶつかり合いながら また互いに手を取るように
対流しながら外界へと吐き出される

もう一度深く氷の結晶を吸い込む
その小さな粒たちは体の奥深く閉じ込められていた
古い記憶古い感情の残骸を吸い寄せていく
プラスのイオンがマイナスのイオンに吸い付けられるように
ほんの少しだけ溶けた結晶は体内の塵を吸い寄せて
結晶の構造の中に組み込んでいく
無数の結晶がひとつずつ「痛み」の粒子を抱え込む
そして大きく息を吐くと
虚空に数え切れない結晶が一斉に舞い踊る

深い深い呼吸を繰り返す
結晶が集まって私になり、また崩れて世界に散り散りになる
それを繰り返す宇宙の呼吸
体の中はきんと冷やされるのと同時に
極限まで不純物を含まない空間となっていく
やがて氷の結晶が規則正しく並ぶ氷の柱のようになる
その氷は何一つ余分なものの含まれない
完全なる透明度を誇る

ハートに意識を集中すると
ふっと炎が点るように愛が着火する
私の愛は私を暖め始める
深い赤みを帯びたピンク色の炎が
氷の柱のもっとも内側に揺れはじめる
氷の中心が愛によって溶かされ
完全な球形の水のかたまりとなる
氷に閉じ込められた淡い桃色の水のかたまり
じわじわと氷は溶けていき
桃色のかたまりは内側からじわじわと育っていく

そして氷はすべて溶け
まるいまるい水の玉が出来上がった
暖められた桃色の玉の中に
ちいさなちいさな胎児の私がいる
私を包む水はとても温かく
欠けることのない完璧な安心とやすらぎに包まれる
この水の玉を蹴破って
私はもう一度産声を上げる