細胞のすべて 原子のすべてが 身体のなかから光に溶け出して
光と共振して 宇宙のすべての原子と共鳴して
私が 宇宙のすべてになる
私と私でないものの境界が溶けていく
呼吸をするたび宇宙が膨らんで しぼんで
宇宙が膨らんでしぼむたびに 私が膨らんでまたしぼんで
空も 風も 緑も すべてが私のなかを通り過ぎ またやってくる
月も 星も 太陽も すべてが私のなかを通り過ぎ またやってくる
光と闇 有と無 善と悪 すべてが私のなかを通り過ぎ またやってくる
すべては移ろいながら 常に私のなかにある
苦しみの連鎖だけが 人生だったように思えても
その過去の延長上に 今があるのではない
苦しみは人から植え付けられたもので 私のものじゃない
地球上に漂う誰かの落とし物 遺失物を生きてきた
幾つかの明るく美しい思い出を除いては
他人の持ち物 他人の人生を生きてきた
他人の人生の上に今があるのではない 真新しい今がここにあるだけ
親の苦しみは そのまた親から植え付けられたもの
誰のものでもなく ただ誰かの落とし物であるだけ
そこにある苦しみを敏感に拾い集めて 片付ける必要はもうない
私は私のもとにある苦しみを 無造作に 誰かに向けて放り出さないようにしたい
誰かになすりつけて 楽になろうとしたくない
それは何の解決にもなっていないことに いつも気づいていたい
死ななくていいんだよ そのままでいていいんだから
できないままで うごけないままでいいよ
息をしてるだけでいい
死んじゃいたいと思うことも 責めなくていいんだよ
いけないことなんて何もない
人と比べてしまってもいい 苦しんでもいい 愚かでもいい
変われなくてもいい 良くなれなくてもいい
許せなくてもいいんだよ
一歩も進めなくても 今のままで そこにいるだけでいい
それで充分 精一杯 生きていることになるんだよ
自分を愛するということを 誤解していた
愛するということは 厳しくすることだと
厳しく叱責し 尻を叩き 理想という枠に当てはめて
こうと決めた路線から外れないように監視し
努力を強要し 上を目指させて 人と比較してより良くあろうとさせる
それが愛だと思っていた
大切にすることだと思っていた
それは全てあなたのため 愛しているからそうするのだと
それを信じるしかなかった幼かった自分が
知らず知らず受け入れてしまったやり方と全く同じことを
自分に強いていた
認知が歪んでいたから
自分を大切にしようと思えば思うほど 生きることが苦しくなり
もっと自分を愛さなければならない 愛せるようにならなければいけないと
追い詰めることにもなった
私の苦しみは その認知の歪みからやってきた
たったそれだけ
結局は 受け継がされた歪みが全てだったんだ
そんな単純なことだった
その歪みを知って むしろそれと反対のことを意識してする
あまのじゃくになる それでバランスをとる
自分が愛せないなら 愛せない自分こそを愛する