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雨音の独白

インクの切れた万年筆で
手紙をしたためました
埃を被った灯りの下で
ぼんやりと太陽の亡霊が揺れました
ペンのキャップを閉めたなら
明日のスープを煮つめるのです
錆を落とすために
握りしめた右手が痺れます
長い長い晩春の雨
流れる雫を数えます
喉に絡みつく飽和した蒸気に
うっかり呼吸を忘れてしまうのです

百日紅の根元に埋めた
あの結晶が見つかりません
幾重もの薄い皮を剥いたなら
葡萄の一粒のように瑞々しく
あなたとわたしの舌を痺れさせる
あの結晶のことです
お利口な大地が代謝したあの宝石は
いったい何に生まれ代わったのでしょうか
明日の朝が来たならば
瑠璃色の蝶に尋ねましょうか

燥き切った唇を潤す
涙はもう零れることがありません
それは正しいことなのですか
わたしはまた流されて
鼓動が刻み込む楔形の傷が
明日もまた一つ描き足されるでしょう
遠く旅立った片側の瞳だけが
この肌の上の絵画を鳥瞰するのです
腐りかけた花弁は散り
脈打つ手首の上で
豪奢なアクセサリーと化すのです