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世界の最後の黄昏

マドリードに行った時
近郊のセゴビア旧市街地の夕暮れに
他の国では感じたことのない色彩を感じた


深い悲しみを帯びたように 
すべての影が特別に色濃い
その場所でかつて流された血の総量が抜きんでて多いかのような
それはフラメンコや闘牛といった文化の持つ色合いとも連なるものに感じられた


降り注ぐ陽光と立ち昇る悲しみとが混じり合ってせめぎ合って
独特の音楽を奏でている
特に日暮れどきには
世界の最後の日が今暮れつつあるのだというような
圧倒的な寂寥感


魂があの黄昏に耐えられなかったのでしょう
我知らず 虚空にもう一人の自分を探した
魂の片割れのような存在が今ここにいて
共にこの景色を見つめているはずだと感じた
その眼差しの不在が理不尽なことに感じられた


実際には友人と一緒の旅だったのだけど
表層的な繋がりとは次元が違う
永遠よりも永い時を共に過ごしてきた自分の半身が
あらかじめ失われていたということに気づいた
それまでの人生で感じたことのない つよい孤独を初めて知った


ラヴェルの「スペイン狂詩曲」という曲を聴いた時
あの時感じたえも言われぬ感覚が見事に音で表現されているように感じた
あの重層的な色彩と
郷愁とも違う胸騒ぎと
その曲を聴くのはやはり少し怖い


クラシック音楽には疎いけれど この曲には導かれて出会ったような気がしている
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