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ブレーキを踏む

強くブレーキペダルを踏み込む。全身の力を右足に込めてぐっと踏んでいるのに、車にそれがうまく伝わっていない感じがする。車はするすると進み、前方の車すれすれでようやく止まった。ほっと胸を撫でおろす間もなく、信号が青になる。
東インターチェンジ付近で、私は家族とはぐれ、車とともに取り残されていた。家族は先に帰ったのかと思い、自宅に電話をかけたが、呼び出し音がいつまでも繰り返し鳴るだけだった。仕方なく、一人で車を運転し、家に向かった。随分久しぶりの運転だった。


次の信号で止まるとき、念入りに、いつもより早めにブレーキを踏んだ。ペダルが壊れそうな勢いで踏み込んでいるのに、なにかが挟まっているのだろうか、車の異常だろうか、それとも私がよっぽど鈍いか、力が弱いのだろうか、どうしてもうまく止まらず、するするすると車は進み、また前の車にぶつかる直前で止まる。額に冷や汗をかき、ハンドルを握る手もぐっしょりと濡れている。脚は力を込めすぎて、岩になったようにこわばっている。