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暗闇に舞う光の軌跡

『メモリーズ 追憶の剣』 2015年の韓国映画を観た。
何度生まれ変わってもあなたを恨み続ける──この血の最後の一滴までもあなたを恨み続ける──それは、切なくて胸が痛くなるほどの愛の告白だった。

信じ、魂を捧げた大義を、愛のために裏切った。その贖罪は自らを最も苦しめる方法でなされなければならなかった。自らの延長である、大切な存在をも傷つけることになっても、そうせざるを得ない。そうするしか生きる選択肢がない。それ以外に、死ぬための選択肢もない。

どうすることもできないほどの重い十字架を背負わされ、愛することが罪と同義になってしまった後では、その罪に対しての罰を受けることだけが、愛を完結させる。
愛というものは利己的なもの。与えるだけでは完結しない。同じだけ奪って初めて成立するのかもしれない。なんて我儘なものだろう。そんな身勝手なものが、どうしてこんなにも美しいんだろう。

映像のどの瞬間を切り取っても、完璧な美しさ。指の先、爪の先まで神経を張り巡らし、意のままにコントロールできる舞踏家のように、どの瞬間のどの隅々までも神経が行き届いているように感じた。向日葵畑、アラビア人街の喧騒、絢爛豪華な新しい宮殿。暗闇の中にキラッキラッと舞う剣の反射光。
そして音。水が沸きつつあるときの密かな躍動。風が木々の間を吹き抜ける気配。雨音の律動。剣と剣が交わり、弾き合う音。五感が呼び覚まされ、自然と鋭敏になってくるみたい。

ワイヤーアクションは主役じゃなくあくまで装飾で、それがなくても分厚い物語は成立する。イ・ビョンホンチョン・ドヨンの抑えた静の演技と、キム・ゴウンの若く弾けるような演技が対比的。
誰もの愛が、悲しみが、厚く擦れあって始終血を流している。彼女が見えない目で描いていた絵画に、流した血が吸い込まれ、浮き出た模様は何を示していたのか。
剣舞は芸術的なほどに美しい。雪が舞い、血しぶきが舞い、そのすべての残像が瞼の裏に映る。
期待を遥かに上回る素晴らしい作品で、見逃さなくてよかった。