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作品レビュー

かつて書いた『無彩色の寓話』という短い小説もどきの文章が、雑誌に掲載されることになる。本当に載っているのか?と半信半疑でページをめくると、いくつかの作品に混じって本当に掲載されていた。くすぐったいような、華麗なマジックに騙されているかのような、なんとも言えない不思議な心持ち。

洋書のように文章は横書きになっていて、最後に作品レビューの並んでいる箇所がある。まるでアマゾンの商品ページのよう。本文より一段小さいフォントで、ぎっちりと感想文が並んでいた。その殆どは、文面からとても若い世代の書いたものと推測される。擬音や絵文字がいっぱいの可愛らしいレビューたちは、言葉足らずで、決して上手な感想文ではないけれど、どれも好意的で、私の伝えたかった本質に肉迫しているのが良くわかった。

いつの間にか私はそれを雑誌ではなく、パソコンの画面で読んでいて、あまりに嬉しかったので、他にしなければいけない作業があったのだけれど、それが何だったかが、沸騰した意識の中から蒸発して消えてしまった。何かしなければいけないという気持ちだけが、空になった部屋にひとつだけ忘れられた家具のように、ぽつんと取り残されていた。