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Dépôt de Météorites

待合室

古い駅舎の待合室のような場所にいる。旧式のストーブが焚かれていて、ガラス窓が白く曇っていた。私はなぜか、裸で毛布にくるまって、壁際のベンチでうずくまっている。待合室には数人の男性がいて、みな私を見て、見ぬふりをしている。新しく入ってきた旅人だけが、ぎょっとした顔をして私を一瞥し、何事もなかったように無視し、それぞれに空いた席に腰を下ろす。それが幾度か繰り返された。碁盤の上に配置された石のように、ここに集う旅人たちはみな孤独だった。


くるまっていたオレンジ色の毛布がはだけそうになり、私は慌てて肩の上まで毛布を引き上げた。毛布は鮮やかで濃いブラッドオレンジのような色で、とても肌に柔らかだった。それは、脆い果肉を外界から守ってくれる、機能的なシェルターでもあった。どやどやと新しい旅人たちが待合室に入ってくる。入口のドアが開き、冷え切った夜が忍び込む。今回は人数が多い。私はそのひとりひとりの顔を覗き込み、ひとりひとりの刺さるような視線を味わった。彼は、まだ来ない。席についた人々は、それまでの人々と同じように、まるで私が存在しないかのように振る舞った。


それを何度繰り返したかわからない、何日、いや何年、何十年経ったのかもわからない。私は疲弊して、毛布を頭までかぶり、ベンチに横になっていた。身体の下敷きになった左腕が、痺れて痛んだ。うつらうつらしていると、私の脚の上に、誰かがドカッと腰を下ろし、あっ失礼、と言ってまた立ち上がった。
ふざけてそんなことをする人は、他にいるはずがない。私は、彼が帰ってきたことを確信した。
毛布から顔を出すと、彼の横顔が笑っていた。待ちくたびれて精魂尽きていた私は、表情もなく、昆虫のようにもぞもぞと起き上がり、隣に腰掛けた彼に腕を絡ませ、寄りかかったまま、また眠りへと落ちていった。