SITE MÉTÉORIQUE

Dépôt de Météorites

ベーシックインカムについて思うこと

ペーシックインカムについていろいろな意見を聞くけれど、感覚的に、世界はこれを取り入れていく方向に動きそうな気配がする。
過度な競争から逃れ、本来の人間らしく、のびのびと生きるために、新しい地平線が開けているような感覚があった。
大した知識もないし、理論やデータで武装できないし、する気もないのだけど、なんとなく直感的に惹かれることを、それが正しいのかどうか考えてみることは必要。検証してみて意見が変わることは殆ど無いのだけれど、直感を信じるために、補強するためにしている感じかな。

ペーシックインカムを導入すれば人々が働く意欲をなくし、労働時間も所得も減るという考えもある。
労働時間が減れば、個人がより充実した人生を送ることができる。もしかすると労働効率は良くなるかもしれないと思う。残業代のためにだらだらと時間だけ長く働く日本人の多いことを思えば、短時間集中で働けばさほど生産性は下がらないかもしれない。

ある程度の額をもらえると言っても、それでは豊かな暮らしには不十分なのだし、自分の望むだけの金銭的豊かさを自分で選択することができ、最低限でいい人はそれで構わないだろうし、より豊かになりたい人は国から受け取る以上に稼ぎたいという意欲を失うことはないと思う。誰しもが最低限の生活のために労働に身を捧げる奴隷である必要がなくなる。余剰の部分を自分次第にできるのは、決して悪いことじゃないと思える。
それで国全体の経済の規模がそんなに縮小するかと言ったら、多分それほどじゃないような気がする。

今回の給付金も消費せずに殆どが貯蓄に回っているというデータから、ベーシックインカムを与えても国民は貯蓄するばかりで、経済が活性化されないのではという声もある。
貯蓄するのは将来の不安があるから。一時的な給付であれば、使えばなくなってしまうので大事にとっておきたくなるけど、継続的に給付されるのなら話は全く別で、またお金は入ってくるとわかっているので、もらった分は使うという割合は格段に上がるはず。将来的に生活が困窮するという不安も払拭されれば、なお安心感が広がって、溜め込もうとする行動は減るだろうと思う。多くの人は消費をしたくないわけでなく、仕方なく我慢しているだけ。

日銀がETFを買い続け、無理やり株価を吊り上げるくらいなら、ベーシックインカムに当てるほうがずっとマシではないかな。株価をいくら上げても実体経済と乖離していて、世の中にお金が回らないことはもう充分に証明されている。トリクルダウン(上が豊かになれば波及して下も豊かになるという考え)は起こらないとわかってきているのに、まだそれに期待し、固執しているのだとしたら馬鹿らしい。

「水のように大抵のものは上から下へと流れる。たったひとつ下から上へ流れるものがある。それはカネだ。」
このまえ何かのドラマでこんな台詞があって、上手いこと言うなと思った。
確かに、お金を下から上へ巻き上げてしまうのが今までの社会だった。その流れを中和することが必要。そのための一つの手段として、ベーシックインカムは有効となるのではないかな。

ただ、代わりに社会保障のすべてを廃止してしまうのは違うし、特に医療保険は死守しなければいけないと思う。全てを自己責任にして、政府は放任すればいい、という方向に持っていくためにベーシックインカムが利用されるのでは意味がない。

今は大きく世界の潮目が変わるとき。渦に巻き込まれてどこに動いているかさえわからなくなりがちでも、遠くのビジョンを保っていたいと願う。とりあえず理想論でも机上の空論でも良いと思う。視線の向いている方向が大事。近視眼的でいると渦に飲み込まれてしまうかも。