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雑草と戯れる

雑草に特別な定義はなく、人間にとってそこに生えていて欲しくないものを単に雑草と呼ぶのだとか。コンクリートの割れ目から生えてきたど根性大根も、雑草といえば雑草になるんだな。
ほんとうに僅かなひび割れでもあればコンクリートの隙間からどんどん生えてくる、奴らは特に頑張っている感を醸し出しているわけでもなく、そこに割れ目があったから…と、どこぞの登山家のごとき哲学的な回答をつぶやくかのように、そこにいる。

家周りを雑然とさせないため、今日も仕方なくたくさんの草取りをしたけれど、果てしない生命力との戦いに終わりはなくて、なぜこいつらを抜かなくちゃいけないんだろうとだんだん訳を探し始めている。抜いてしまってごめんねと申し訳なく思うわけでもなく、また生えてきやがって!と思ってしまう自分の心がさもしく思えてきて、なんだか嫌だ。

奴らは抜かれようと踏みにじられようと何一つ堪えていない感じがする。こんな戦いは嫌なんだけど、戦いたくないんだけど、放っておけば廃屋のようになってしまうだろうから、やはり余分な草は手に負えなくなる前に抜かないといけない。除草剤は環境に良くないだろうし使いたくない。以前古くなってしまった醤油がひと瓶あったので、雑草対策になるかと思って撒いてみたことがある。二週間くらいはあまり生えなかった。二ヶ月もしたら何事もなかったように奴らははびこっていた。

奴らはなんて丈夫なんだ!なんて強靭なんだ!かっけー!この仁義なき戦いに勝ち目はない。できるだけ奴らの勢力を弱めたくて、いわゆるグランドカバープランツを植えて、土を覆ってしまう状態に育てようとした。それはある程度は成功しているけれど、それでも雑草はそこに混じってちらほら顔をのぞかせ始める。グランドカバーとして植えたクリーピングタイムも、こっちの方向に育って行ってほしいなと思っていると何故かそこには広がらず、そっちは広がらなくていいよという方向には広がる。なんて天邪鬼なんだ!もうお手上げだぜ。もしかして手玉に取られてる?

奴らを抜くときも、戦っているという感覚でなく一緒に遊んでいる感覚で抜くことができたらいいのかな。はじめはそんな感じでも、ついつい夢中になっていくと鬼のような形相になっていそう。品格を保ち雑草を抜く。奴らと仲良く楽しく美しく戯れる。
世界で一番スゴい植物は雑草で間違いない。