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嗚咽

ベッドに横たわり、彼に背を向けて、泣いていた。泣くというよりも、何かが溢れてしまい吐き出すしかない。嗚咽というよりも、魂が作動する機械音のようで、自分でも見知らぬ、どこか生命とは遠い場所で歯車が軋むような音だった。彼が戸惑っているのはわかっていたけれど、小さな配慮は濁流に飲まれ、すぐに姿を消した。


彼の愛の言葉も、憂いの言葉も、いつも私ではない誰かに向かって投げかけられているのだと、私は知っていた。自分を傷つけるその思いをどうしても信じたくなかったが故に、何度でもそれに刃向かって、剣を振り回しているうちに自分の肉を切り刻んだ。自分の疑心と闘って、敗北した。そうして、信じたくない真実がまことのものとなった。彼が愛しているのは私ではないという真実が、私の手によって生み出された。


その過去が、時の河をくだり、今大海に出ようとしている。苦しみを手放すとき、果てしなく愛おしくなる。私は苦しみを深く愛していたということに気づき、哀しくてたまらない。


自ら刺したとしてもその剣は、たしかに魂を貫いて、おびただしい量の血が流れたことは事実だった。その痛みも決して虚構ではなかった。それをただ分かってほしかった。
言葉という、曖昧に点滅する暗号のようなツールには、世界との接点がない。あったとしても、蜘蛛の糸のようなたった一本の細い可能性。私はそれを信頼してはいなかった。同時に、そこにぶら下がって、糸を切ってしまうことを恐れてもいた。
背中に彼の気配を感じていた。振り向くことができない。涙と鼻水で汚された顔を向けたくなかった。この嗚咽だけが、彼の魂に響き、総てを刻みつけてくれることを切望した。