SITE MÉTÉORIQUE

Dépôt de Météorites

ニュースで迷子になる

インターネットだけで情報を得るという人が増えていて、既存のメディアをひどく酷評して軽蔑している人がとても多い気がする。
確かに既存のメディアは利権と絡んでいて、その利害関係によって奥歯に物が挟まったような言い方しかできなかったり、そもそも何も報道しなかったり、そのようなことはしばしばあると思うけれど、もっともっと危険なのはネットで偏った情報だけに接し、その真偽も不確かなまま信じ込むこと。

既存メディアも不確かと言えるけれど、ウェブ上の情報は不確かさの度合いが桁違いと言えるでしょう。ウェブのあちこちで同じような意見に触れていくと、それが主流のような錯覚に陥る。散見される同じような意見も、もとを辿れば出処はたった一つかもしれない。

自分の信じたい情報だけに触れ、それ以外を排斥していくと、偏っていることに気づかなくなる。いろいろな情報に触れて、いろいろな角度から見て客観的に判断しているつもりでも、自分に近い考えに知らず知らず重きをおいて、意識しないままに偏向していて、それに全く自覚がないのは何より恐ろしい。

既存メディアを罵倒する人の多くは、単に、そこで流れている情報が気に入らず、否定したい人たちなのでは。
偏向している人たちは、中立である人たちに対しても、自分と同じ偏りを持たないからと言うだけで、対立軸の向こう側へ追いやってしまう。分断を加速させ、悪意を増幅させることに喜びを感じているみたい。

どちらかが正しいとするのではなく、あくまで中立であるメディアが必要なんじゃないかな。自分のいる位置を測るために。少なくとも私は、自分の居場所がわからなくなって迷子になってしまうのに恐ろしさを感じる。

情報に飲み込まれて溺れていることを、乗りこなしていると勘違いしないようにしたい。対立、分断に巻き込まれたくもない。距離をおいて、思考偏重にならないように、肌感覚と、直感的な快と不快の感覚を尊重して。自分にとっては、大体そっちが合っているから。