2021-01-01から1年間の記事一覧
まだ薄暗い早朝、校舎の階段を上っていた。煤けたコンクリートの灰色だけに支配された、廃墟のような空間。階段の途中には、新聞紙が散乱して行く手を阻んでいる。折り畳まれた大量の古新聞に混じり、スナック菓子やウエットティッシュの袋も散乱していた。…
未来のことを心配するのに 今の時を使うのは ただの無駄遣いあらゆる無駄を省こうと必死なのに どうして今という時間の無駄遣いは平気でしているの? 心配は最小限にするのが エコというものどうしてもそれが起こってしまったら その瞬間だけ心配すればいい…
ドラマのセットは、ちょっとしたアスレチックか何かのようで、一軒の家の内部に、緩い螺旋を描く滑り台のようなものがあったり、ボルダリングの壁のようなものがあったり、複雑に込み入って、目眩がするほど派手な原色が散りばめられた内装となっていた。私…
『ペパーミント・キャンディ』 1999年のイ・チャンドン監督作品を観た。 人生に失敗した男が、思い出の場所へ帰ってくる。同窓会に現れた彼は、妙なハイテンションで騒ぎまくり、旧友たちに呆れられる。気がつけば彼はひとり陸橋に登り、線路の上で列車の到…
自分に愛を捧げるのも世界に愛を捧げるのも本質的に同じことならまず世界に捧げてみれば 自意識から離れやすくなる?世界を優先して自分をないがしろにしてしまう?やはり自分が先のほうがいいの?これに答えはないのかもしれない 世界を愛せないほど傷つい…
自分が変われば周りも変わる。周囲の人は自分の鏡だ……という、よく精神世界の教科書などで言われていることがどうしても納得できなかった。実践する努力をしても全く現実は動かないし、苛々して余計ストレスが溜まって爆発していた。これに関しては本当に本…
音楽室で、多くの児童と一緒に歌を歌っている。小学校の音楽の時間らしい。アルファベットの歌を歌っていたので、英語の時間だったのかもしれない。ABCDEFG〜と歌おうとするのだけれど、その続きが所々どうしても思い出せない。記憶が部分的に黒塗りされてし…
『人新世の「資本論」』 斎藤幸平著 読了。SDGsは大衆のアヘンである! という扇情的な見出し。それに釣られて読んでしまった。 SDGsには、本質的に、資本を崇拝する今の社会構造を変える力などなく、焼け石に水状態であり、結局は現状維持状態しかもたらさ…
父の性根がねじ曲がっていたとしても それは血とは関係がない父の血がこの身体に流れていると思うと 自分を殺したくなったものだけれど 血そのものが穢れているわけじゃない肉体やDNAに罪はないそれは人智を超え エゴを超えた世界に属するものエゴによって汚…
私は赤ちゃんを産んだ。正確には私のお腹から産んだわけではないのだけれど、どこからともなく降ってきたように私の手に授けられている。そして確かに私の子であることが分かっている。 あなたの名前は何なの? 私は赤ちゃんに問いかけた。赤ちゃんは「ヒロ…
『よく知りもしないくせに』 2008年のホン・サンス監督作品を観た。 日常のごくありふれたシーン、ごくありふれた会話の積み重ねの中に、よく知るはずの人の全く知らない顔を見つけて愕然とする。他人とは、まるっきり理解不能の、得体の知れないモンスター…
足の速い人同士がどちらが速いかを競いクイズ王同士がどちらが知識豊富かをを競い社員がどちらが先に昇進するかを競いママ友同士もなんとなくの空気でマウンティングするスピリチュアルな人々もどちらがよりスピリチュアルかを競ったりしてどこに属しても競…
『メモリーズ 追憶の剣』 2015年の韓国映画を観た。何度生まれ変わってもあなたを恨み続ける──この血の最後の一滴までもあなたを恨み続ける──それは、切なくて胸が痛くなるほどの愛の告白だった。 信じ、魂を捧げた大義を、愛のために裏切った。その贖罪は自…
山あいの清々しい空気を胸いっぱいに吸い込む。辺りは新緑の他に何も目に付くものがない。自転車にまたがり、急な坂道の上にいる。これから、ここを滑り下りるのだ。なぜだか不安が過る。ブレーキはきゅっと握りしめれば手応えがあり、きちんと車輪の回転を…
アフィリエイトだとか広告収入を得るため、とにかくアクセスを集めたい。いいねとかスターとかスキとかが欲しいから、自分の記事に呼び込む目的で、手当たり次第に足跡を残していく。これらがブログやSNSを駄目にしていると思う。(使い方によっては)目的を…
駅前の暗い夜道を歩く。霧雨が降っていて視界が悪く、ねっとりとした湿気が世界中をゼリーの中に閉じ込めたかのよう。変則的な形の横断歩道。アスファルトの上の白線が辛うじて視認できる。渡ろうとしてそれが横断歩道でなかったことに気づく。信号が変わっ…
水辺を横切る翼の影湧き出でる形有る生命を弔っていく涼み行く魂のリファレンスこの世界に色を添える 水のなかに揺れ続ける想いはどこまでも薄められた結果最新機器により検出不能どこまでも拡められた結果色は色を見失った 旧い試験紙が示す永遠より巨きな…
筆跡というものに宿る肉体性に、目を見張ることがある。精神性は文字の外観よりもその内容に宿るけれど、筆跡は殆どその人の体の延長に思える。筆跡には、精神性とは違う次元の、粗雑でありながら精密な肉体の豊かさが織り込まれている。自分では知らない自…
階段を、目を閉じて上っていく。闇の中を手探りで、ゆっくりと一段ずつを噛みしめる。上り切り、目を開くと、自分の部屋が整然とした美しいものに変わっていた。ベッドの向きが違い、鮮やかなフクシアピンク色でペイズリーのような模様が描かれた、真新しい…
憂鬱な気分というものは「感情」ではなく憂鬱な思考が積み重なった後の味わいなだけ憂鬱さは「思考」でしかない その思考を手放そうと躍起になると手放せないという現実を責め始める苦しみの上塗りにしかならない そんな思考にかかずらわることを一旦やめて…
『渇き』 2009年のパク・チャヌク監督作品を観た。気持ち悪い!どうしようもなくグロテスクだし気色悪い。もう吐きそう。なのに、何なんだろう、圧倒的な力で揺さぶられる。衝動が地核の奥深くから轟いてきて、精神を粉々に砕かれるようで。 映像のどの瞬間…
寒い夜に暖かな布団にくるまって眠れること無事に朝を迎えられることそれだけでも奇跡のようなことそれ以上を求めるのは強欲なのではないだろうかともう一度噛み締めてみる 人間は 食べては便を出し食べては歯を磨き汚れては風呂に入り部屋を散らかしては掃…
夢の中で、こんなドラマを観た。国内の少し古いドラマのテイストだった。主人公の若い女性が、書店でベストセラーを見繕う。彼女は自分の少々風変わりな個性を封印して、社会に認められる存在になろうと思い詰めている。いま世間で流行っているもの、世間が…
思考は 自分自身のものじゃない どんなに自分が考えているように思えても自分のものじゃない社会の中で生きるうち 外側から植え付けられた方法論 「他人のお喋り」を聞いているようなもの 参考にすらならないことがほとんど振り回されないで
陽だまりで、愛犬のネルと戯れていた。南の空低く太陽が横切り、ガラス越しに長い影が伸びている。板張りの床の上、影が踊るのを見つめる。ポメラニアンのネルはベージュ色の毛色だったけれど、陽光に細くふわふわした毛の一本一本が煌めいて、黄金でできた…
山崎製パンが競合他社を告発するような声明を出したことがあった。他社はイーストフードなど添加物を不使用と謳いながら、実際は原材料表記をしなくても済むような他の方法で添加物を加え、事実上はイーストフードを加えているのと同じようなものであるのに…
突然、母に起こされる。3時半だよ! 遠慮のない大声に目が醒める。幼い子供のような、思慮の痕跡が全く感じられない率直な声だった。母からそんな声が聞かれることは初めてのような気がした。深夜の3時半。外界は静かな闇に覆われている。引き替えに部屋の中…
夢見がちにふわふわした理想を追い醜いものから目を逸らし 無かったことにしてアセンション後の美しい世界を待ち侘びるのがスピリチュアルなんじゃなくて 現実の泥にまみれて闇を直視しながら同じだけの光を心に留めることそれが本当のスピリチュアルな在り…