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隕石の堆積場

シャガールの恋人たち

私たちはバスツアーのようなものに参加していた。ツアーというよりも、もっと大きな意味での旅、民族が大移動するような旅だった。ある小さな町で停まり、古びた風情のある町並みに、土産物店が幾つも並ぶなかを歩き回る。周囲の人々はすべて同じ移動に参加…

甘口であたたかい後味

韓国ドラマ『愛の不時着』 視聴終了した。 脱北者の方が実際に監修に参加していて、北の庶民の暮らしがリアルに描かれていると評判のこの作品。流行りものにはあまり手を出さない方だけど、これは誘惑に負けて観てしまった。 ワンシーン出演した脱北者の方が…

オーラを引き寄せる

オーラというものは、広がりすぎては良くないものなんだそう。なんとなくふわっと大きく広がっている方が、縮こまっているよりいいのではないかと短絡的に思っていたので、ちょっと驚いた。体から40~50cmまでの範囲にオーラが収まるようにすると良いとか。…

濡れたポケット

私は数学の教師だった。教師なのに、生徒のように教室で着席して、授業を受けている。数学をどう指導するかという授業らしい。私は、高校生なら皆学んだはずの簡単な問題に四苦八苦する。もう卒業してだいぶ経つから、忘れてますよね?忘れてませんか? と周…

小さな革命

そうすべきと思っていたことを すべきでないに置き換えてみる悪いことだと思っていたことを 悪くないと思ってみる良いことだと信じていたことを 良くないのかも知れないと思ってみる 価値観を反転させてみることで 自分の歪みがよく見えてくるそれは日々の …

跡目争い

ゴッドファーザーみたいな映画を見ている。あるいは本当にその世界を生きている。どちらかわからない。私はマフィアのような悪い組織の、ボスの三男だった。長男は、勢いばかりで実の伴わない、思慮に欠ける人物。次男は、臆病で無責任。三男の私は、一見善…

ドアノブが無い

部屋に入ろうとすると、ドアノブが無くなっている。ノブが嵌っていたはずの穴は、茶色い紙製のガムテープで塞がれていた。ガムテープはドアと壁を密封するように何重にも貼られていて、そのしつこいやり方から、父の仕業だとすぐに分かる。 何故こんなことを…

抵抗感を愛する

嫌なこと望まないことが起こっても それは私が生み出している嫌だと思う現実こそ大事なこと そこに鍵があるだから嫌だと思うことは必然で抵抗せず受け取ることが難しいのは当然のこと 抵抗感が出ても 嫌でたまらなく思ってもそれこそが必要な感情だと知って…

えのき茸が生える

髪をヘアウォーターで少し濡らして、ブラシをかけている。後頭部のやや左のあたり、髪の感触がぬるっとして、べたっとして、束感がある。なんだろうと思ってよく触ってみると、その部分だけ、髪の毛ではなくえのき茸が生えていた。ロングの髪に混じって違和…

許すことが最大の罰

人生の中で どんな愚かな誤ちを犯したとしても決して許されない罪を犯したとしても自分を許し 自分に許されるしか 進む道はない いくら自分を罰しても どこへも辿り着けず 何も得られはしない罰することは 罪悪感からの一時的な逃避でしかない ほんとうに罰…

夢日記はアートであり得る?

ほぼ日刊イトイ新聞に「細野晴臣夢日記」という連載があったのを見つけた。もう十年以上前のもの。かいつまんで読んだけど、すごく面白かった。夢日記を書くこと、公開することに迷いを感じて、他の人が書いている夢日記を見てみようと思い、探してみた中で…

白い皿を食べる

真っ白で平たい皿が、欠けているのに気づく。装飾を削ぎ落としたシンプルな皿のエッジには、三センチほどの欠けた部分があり、傷口は刃先のように鋭利だった。皿に感情があるとすれば、たしかにそれは、憤りが限界を超えたために出来た吹出口のようだった。 …

才能を持たないという選択

客観って言葉が大嫌い「客観」を超えた上でもっと広い視野に立ち「主観」的に自分の価値を信じられることが必要 中身がないのに自分はすごいと思っている人と自分を信じて実際にすごい存在となった人とどこが違うのかって単に才能があったかどうか 持ってい…

謎の譜面

私がその譜面を食い入るように見ていたためか、先生は譜面を貸してくれた。それはギターのための譜面のようであり、ピアノの楽譜のようでもあり、そのどちらでもなかった。どうやって読み解いていいかわからない、謎の記号と濃密に絡まりあった私は、不思議…

擦れ違い

彼が前方から歩いてきて、私は顔を上げられない。前髪が乱れているだろうことが気になっていた。彼は、私のすぐ前で立ち止まった。私は自分の机が邪魔しているのだと思って、いや、思ったふりをして、机を少し脇へとずらし、通路を広げてあげる。彼はなにか…

一人になりたい

「一人にして欲しい」という人は本当に一人でいたいんじゃない。「死にたい」という人は本当に死にたいんじゃない。たまたま見ていたドラマでそんな台詞があって、少し心に引っかかった。たしかに「死にたい」と誰かに言う人は、死にたいほど辛いのをわかっ…

アルターエゴ

巨きな帆立貝のような二枚貝があり、私はその頑なに閉ざされた口をこじ開けようとした。ボッティチェッリの絵画でヴィーナスが乗っているみたいな貝。その中には、裸の男性が、胎児のように丸くなって入っている。何故だかそのことをあらかじめ知っていた。…

内臓を直視する

『哭声/コクソン』 ナ・ホンジン監督作品。映像文化に於いて、韓国は世界最高峰に位置することは間違いないと確信させられる作品。でもとにかく血みどろ、目や耳を覆いたくなるような場面の連続で、精神が悲鳴をあげた。二度ほど途中で諦めようとしたけれど…

純白の島をリポートする

かつてのスペイン風邪という名称のように、今回の〇〇風邪の名称のもととなった〇〇島はどの位置にあるでしょうか。三択でお答えください。緯度30度、緯度55度、緯度65度。正解は緯度65度。その島は南アメリカ大陸の南端に、おまけのようにくっつく…

隣のコロちゃん

私が中学に上がったばかりの頃、隣の家で柴犬を飼っていた。コロちゃんは無駄吠えすることもない、とてもおとなしい女の子だった。隣家のお父さんはかなりの亭主関白で、奥さんに対し怒鳴り散らす声が頻繁に聞こえてきた。その怖いお父さんが、コロちゃんに…

下り坂で見つけた花

『エターナル』 イ・ビョンホン主演の韓国映画を観た。 「下りるときにはよく見えた 上るときには見えなかったその花」得ようとする行為は、結果何かを失うという現実をもたらすだけ。それに気づくのは必ず、何かを失ってから。そして、究極的には、何も失っ…

マイペース

ずいぶん長い間、自己啓発とかスピリチュアル、心の不調に関する内容を除き、ほとんど本を読めなかったので、読むという行為がとても疲れるし、休み休み、ゆっくりしか読めなくなっている。もともとたくさん読む方ではなかったけれど。多読な人から見たら亀…

幻聴

『あの人に逢えるまで』 半時間ほどの短いフィルム。南北離散家族をテーマにした韓国映画。とてもきれいで優しい映画だった。こういうのがもっと観たいのに意外とない。「シュリ」「ブラザーフッド」のカン・ジェギュ監督作品。 何十年もひとりの人を心の中…

夕焼けのなかの幻影

夕焼けの西の空たかく、つづら折りの道が伸びていて、その先に涅槃の国がある。涅槃という概念は当時の私にはなかったけれど、感覚的に捉えていたものを言葉に変換するなら、そう表現するのが正しいと思う。 幼い頃に、圧倒的な夕焼けの燃え盛るようなだいだ…

赤い夢

憶えているいちばん古い夢はなんだろうと考えてみると、小学三年のときに見た、血尿が出る夢に思い当たる。いつものように用を足すと、白い便器の中が真っ赤に染まっている。その赤い色があまりにも濃度が高く鮮やかで、見つめているとそのなかに眩暈ととも…

元気をもらう

活躍するアスリートなどを見て、よく「元気をもらった」とか「勇気をもらった」という人がいるけれど、私にはそれが全く理解できなかった。そういう自分がどこかおかしいのではないか、何かが欠けているのではないかと、疑っていた。どうしたら元気をもらっ…

嗚咽

ベッドに横たわり、彼に背を向けて、泣いていた。泣くというよりも、何かが溢れてしまい吐き出すしかない。嗚咽というよりも、魂が作動する機械音のようで、自分でも見知らぬ、どこか生命とは遠い場所で歯車が軋むような音だった。彼が戸惑っているのはわか…

強くなること

世の中の荒波を越えてひとつずつ鍛えられ強くなる そんなよくある美談強くなることは 鈍感になること強くなるということは 繊細な感受性を失うこと弱いままでは 感じやすいままでは 生きづらいだから感受性を自ら削り取っていくそれを「慣れる」こと「成長す…

アセンションの意味

今生きるこの世界が 苦しみも悲しみもない美しい世界になって苦痛が終わることを待ち望んでいたけれど世界が混沌としたままで 何ひとつ変わらなくてもそのなかにあって苦しみも悲しみも知ったうえで苦しみも悲しみも味わうこと無く生きられるようになること…

理科教師

朝七時過ぎに起きなければならない。でも起きられない。七時半くらいから放映されるドラマがあり、俳優Cが主演している。私はそれを見たかった。起きなければと思っているうち数十分眠ってしまい、気づくと八時過ぎだった。重い体を引き摺って起き出す。ド…